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マンション選びには防音性も重要?―各構造タイプのマンションに住む際のメリットとデメリット―

マンション選びには防音性も重要?―各構造タイプのマンションに住む際のメリットとデメリットについて―

マンションに引っ越す際や購入を考える際に最も注目されがちな項目には立地条件や賃料(価格)、間取りなどがありますが、災害大国とも呼ばれる日本では耐震性や耐久性、そして防音性もそれぞれ非常に重要な項目です。このページではマンションの構造タイプごとの性能を比較し、マンション選びの際に注意すべき点を記載しています。

マンション選びの際、なぜ防音性が重要なのか

まず、「日本で」住宅選びをする際に非常に重要になるのが耐震性・耐久性です。上記にも災害大国と記載していますが、日本は全世界に対して概ね8%前後の活火山を保有し、マグニチュード6以上の地震が発生する割合は概ね20%前後と非常に多くの活火山を保有することと大地震の発生頻度からこう呼ばれています。つまり、災害に対する保険としての耐震性や耐久性は非常に重要であり、地震だけでなく台風、大雨などの自然災害を考えた場合にも非常に重要な要素と言わざるを得ません。ただし、マンションに住む際は戸建と異なり密接した空間に多数の人間が住むため比較的人的トラブルもつきまといやすい、という点にも注意が必要です。もちろん自然災害も脅威ではありますが、人災という言葉があるように人とのトラブルも日々の生活にとっては脅威の一つとなり得ます。そして、マンションにおけるトラブル要因になりやすいものの一つが騒音であるため、防音性も耐震性や耐久性と同様に重要な要素となる訳です。

構造タイプごとの性能比較

上記を踏まえた上でマンションの構造タイプごとにおおまかな特徴、住む際のメリット・デメリット、防音性の高さとその理由をまとめてみました(以下)。

鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)

■特徴:鉄骨構造の内側に鉄筋コンクリートを組み合わせた構造で、近年の高層マンション建設に多く採用されています。
■メリット:強度が非常に高く、耐震性・耐久性も非常に優れています。
■デメリット:建築コストが非常に高いため、購入費用または賃料も比例して高くなります。また、一般的な(高層でない)マンションにはあまり採用されない建築方法です。
■防音性:非常に高い
■防音性の理由:コンクリート自体が密度の高い素材であり、そもそも音を伝えにくいという特徴があります。鉄骨とコンクリートの組み合わせにより、RC造(以下)と同様に音を遮断する効果が非常に高くなります。

鉄筋コンクリート造(RC造)

■特徴:鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造で、近年建設されるマンションでは一般的な構造になっています。
■メリット:強度が高く、耐震性・耐久性・断熱性も優れています。
■デメリット:SRC造と同様に建設コストが比較的高く、購入費用または賃料も比例して高くなります。また、一般の(高層でない)マンションの構造タイプとして採用される傾向がありますが建物自体が重いため、埋め立て地に建造される場合、地盤沈下のリスクが要検討事項になります。
■防音性:非常に高い
■防音性の理由: SRC造と同様にコンクリートを使用しているため音を伝えにくい特徴があります。特に壁や床が厚い場合は生活音や外部からの騒音、上下階の音(足音など)などを効果的に遮断します。

プレキャストコンクリート造(PC造)

■特徴:鉄筋と工場で製造されたコンクリート製品(プレキャストコンクリート)を建材として現場で組み立て造られる構造です。
■メリット:現場でコンクリートを造成しないため工期が天候に左右されにくく、人的コストの削減に向いていて、かつ品質が安定する傾向があります。また、耐久性も比較的優れています。
■デメリット:現場で造成される訳ではないため建設の際に接合が必要になり、接合部の耐久性はRC造より弱くなりがちです。また、製造工場の規格にないプレキャストコンクリートは作れないため複雑な施工やデザインは難しい場合があります。
■防音性:高い
■防音性の理由:プレキャストコンクリートは現場で造成されるコンクリートより密度が高くRC造よりもコンクリート自体の遮音効果が高い場合があり、RC造に近い防音性が期待できます(RC造と異なり接合部が多くなるためこのページでは防音性を「高い」としています)。

軽量気泡コンクリート造(ALC造)

■特徴:軽量で気泡を含むコンクリート(通称:気泡コン)を使用した構造です。気泡コンは断熱性に優れ、比較的軽量です。
■メリット:軽量であるため地盤沈下のリスクを低減しつつも比較的高い耐久性・断熱性・耐火性を保有しています。
■デメリット:気泡コンの密度は通常のコンクリートの凡そ1/5~1/4であるため上記の3構造に比較して耐久性が劣ります。また、気泡コンの特徴として吸水性が高いため雨漏り等のリスクがあり、防錆対策も必要です。
■防音性:中程度
■防音性の理由:気泡コンは密度が低いため遮音性は上記3構造ほど高くありません。ただ、少なくともコンクリートを使用しているためボード材を用いる木造や鉄骨造よりは防音性能が高いと言えます。

鉄骨造(S造)

■特徴:鉄骨(鋼材)を骨組みとする中層建物に多く見られる構造です。
■メリット:工期が短く、耐震性や耐久性も木造よりは高いです。また、複雑なデザインやリフォームへの対応がコンクリート造よりも容易です。
■デメリット:火災リスクは上記の各コンクリート造より高くなります。また、鉄骨が錆びる場合があるため防錆対策が必要です。
■防音性:中程度
■防音性の理由:鉄骨造は壁がコンクリートでないため、遮音性は上記の各コンクリート造に比べて劣ります。特に音の伝わりやすさが課題となることが多いため防音材を追加するなどの対策が必要になる場合があります。

木造:ツーバイフォー工法(2×4工法)

■特徴:木造枠組壁工法の一種で、約2インチ×約4インチの規格角材(ツーバイフォー材)を主要な構造材とするためこう呼ばれています。壁や床、天井に木材のパネルを組み合わせて構造を作ります。
■メリット: 耐久性や耐震性が高く、工期も比較的短いです。
■デメリット:大規模なマンションの建設には適さず低層建築物にしか使えません。
■防音性:中程度
■防音性の理由:木材はコンクリートや鉄に比べて密度が低いため、そもそも構造として音が伝わりやすい性質があります。ただ、ツーバイフォー工法の場合、壁や床のパネルを精密に組み合わせて建造するため、木造の中では比較的防音性が高くなります(コンクリート造には及びません)。

木造:一般的な木造

■特徴:主に木材を使用した構造であり、一般住宅でもよく見られますが、近年の傾向として低層のマンションにも使われることがあります。
■メリット:建築コストが安く、断熱性、通気性が高いという特徴があります。また、「温かみやぬくもり」といったイメージの住宅デザインに適しています。
■デメリット:鉄骨やコンクリートに比べて耐火性や耐久性が低く、遮音性もやや劣ります。
■防音性:低い
■防音性の理由:木材はコンクリートや鉄に比べて密度が低く、音が伝わりやすい性質があります。

構造タイプがSRC造やRC造でも油断は禁物

SRC造やRC造などのコンクリート造は比較的防音性が高いとはいえ、施工の仕方や材質の違いによっては同じ造りの建物よりも性能が低い場合があるため注意が必要です。また、コンクリート造は部屋の中の音が反響しやすい傾向があり、防音カーテンや防音マットなど防音対策が必要になる場合もあります。加えて、そもそも検討中のマンションに配慮のない隣人や非常識な上下階の住人がいないとも限りませんので、マンションを選ぶ際には、構造だけではなく、現状の騒音の状況や実際の遮音・防音がどの程度であるかを確認することが非常に重要です。

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