騒音値の基準と目安

騒音値(騒音レベル)や音圧(音の大きさ)はデシベル(db)という単位で示されます。誰しも一度は聞いたことのある言葉かと思いますが、具体的に「何デシベルがどれくらいの騒音・音の大きさにあたるのか」をご存知の方は少ないのではないかと思います。下記は一般的な騒音発生源や環境と、それぞれの発生源や環境における騒音値および感じ方の目安です。

目安①(うるささ) 目安②(身体/生活への影響) 騒音値(db) 相当する騒音発生源または環境
きわめてうるさい 聴覚機能に異常をきたす 120db ・ジェットエンジン(飛行機)の近く
110db ・自動車のクラクション(2m)
100db ・電車が通るときのガード下
・液圧プレス(1m)
うるさくて我慢できない 90db ・犬の鳴き声(5m)
・騒々しい工場の中
・カラオケ(店内中央)
・ブルドーザー(5m)
80db ・地下鉄の車内
・電車の車内・ピアノ(1m)
・布団たたき(1.5m)
・麻雀牌をかき混ぜる音(1m)
うるさい かなりうるさい。かなり大きな声を出さないと会話ができない 70db ・騒々しい事務所の中
・騒々しい街頭
・セミの鳴き声(2m)
・やかんの沸騰音(1m)
大きく聞こえ、うるさい。声を大きくすれば会話ができる 60db ・洗濯機(1m)
・掃除機(1m)
・テレビ(1m)
・トイレの洗浄音
・車のアイドリング(2m)
・乗用車の車内
普通 大きく聞こえる、通常の会話は可能 50db ・静かな事務所
・家庭用クーラー(室外機)
・換気扇(1m)
聞こえるが、会話には支障なし 40db ・市内の深夜
・図書館
・静かな住宅地の昼
静か 非常に小さく聞こえる 30db ・郊外の深夜
・ささやき声
ほとんど聞こえない 20db ・ささやき
・木の葉のふれあう音
※かっこ()内は騒音発生源からの距離

騒音の距離による減衰

騒音は発生源から離れれば離れるほど小さくなります。これは距離が離れることによって騒音の持つエネルギーが拡散し、減衰するためです。実際の減衰率(どれくらい距離が離れたらどれくらい減衰するか)を計算するためには専門的な計算が必要となりますが、一般的な目安は下記程度です。たとえば2m発生源から離れれば、6db値が下がります。距離による減衰量は音源の形状によっても異なります。

距離(m) 減衰量(dB)
2 6
4 12
8 18
16 24
32 30
50 34

このような騒音の距離による減衰の特性は、発生している騒音の発生源を推定する調査に使用されています。>>詳しくはこちらから
距離による減衰についてもう少し詳しく知りたい方は>>こちらのページをご覧ください

 

健康に影響を及ぼす騒音レベルの基準、デシベルの目安

世界保健機関(WHO)が欧州地域向けに作成した「環境騒音ガイドライン」では、騒音による睡眠妨害や慢性的な睡眠障害による虚血性心疾患、生活習慣病、心臓血管系疾患のリスク上昇といった「騒音による健康への影響」が指摘されています。
また、上記ガイドラインによれば、例えば航空機騒音では、夜間の騒音レベルLnight 40db(デシベル)が睡眠障害の閾値(約11%の対象者が睡眠に影響する)とされています。同じように欧州夜間騒音ガイドラインでは屋内最大騒音レベル35db(デシベル)が覚醒閾値として示されています。心臓血管系疾患のリスク上昇は エビデンスの質は高くないとされているものの、例えば道路交通騒音を例にとると Lden 53db を閾値として10db 上昇するごとにリスクが1.08倍になると言われています。

※閾値(いきち または しきいち):この値を超えると反応を示す、といった反応の境目の値
※覚醒(かくせい):目を覚ますこと
※Lnight:夜間における等価騒音レベル
※Lden:昼間、夕方、夜間の時間帯別に重み付けを行った1日の等価騒音レベル
※等価騒音レベル:変動する騒音レベルのエネルギーに着目した時間平均値(簡単に表すのであれば「騒音の平均値」)

 

睡眠に影響を与えない騒音は35~40db(デシベル)が目安

上記を勘案すると夜間、睡眠に影響を与えないためにはおおむね35~45db(デシベル)を目安に騒音レベルを抑えることが望ましいといえます。ただし、人によって騒音への感度は異なりますので、これらの目安を超えても問題ない人もいれば、目安を下回っていても影響が大きい人もいることに注意が必要です。

騒音のもたらす様々な悪影響について、詳しくはこちらのページもご覧ください(>> 騒音のもたらす様々な悪影響 )

環境基本法や騒音規制法における騒音の基準

ここまでご閲覧いただいた方の中には「目安やガイドラインはあるが法的に基準は定められていないのか」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、日本には法律で定められた騒音の基準も存在します。その内の一つが環境基本法における騒音の環境基準で、法律自体が「人の健康の保護や生活環境の保全のためのもの」であるため、その一部として騒音の基準が定められています。また、騒音規制法も騒音の基準値を定めている法律の一つで、こちらは工場や事業場から発生する騒音について規制を行うため定められているものとなっています。なお、上記のいずれもより詳細に紹介・説明しているページをご用意しておりますので、ご興味のある方はご覧ください。>>リンク:騒音に関する規制と法律のまとめ(規制値、基準値、参照値):

労働者の健康を守るための騒音基準

厚生労働省が定める「騒音障害防止のためのガイドライン」でも、騒音作業に従事する労働者を守るため、騒音の基準が設けられています。このガイドラインは名前の通り、労働者が長時間、継続的に騒音を伴う作業を行うことで聴覚に障害をきたすことを避ける目的で定められており、「作業時の騒音が常時85dbを超えるような場合は作業時間の短縮を検討すること」、「聴力検査の結果、聴力低下が認められる労働者には聴覚保護具を使用させること」など、事業の区分に応じて労働者の環境を守るための様々な措置を求めています。
参考リンク:騒音障害防止のためのガイドラインの改訂について:

低周波音の大きさの基準となるdb(デシベル)の目安

低周波音については、心身に係る苦情に関する参照値と呼ばれる値が環境省の「低周波音問題対応のための「評価指針」」に示されています。この参照値は下記の表のとおり周波数ごとに目安となるデシベルが定められており、例えば50Hzの周波数で52db(デシベル)を超えると、心身に対して影響を与える可能性があることを示しています。

1/3 オクタ-ブバンド 中心周波数(Hz)1/3 オクタ-ブバンド 音圧レベル(dB)
1092
12.588
1683
2076
2570
31.564
4057
5052
6347
8041


低周波音の基準となるデシベルの目安についてさらに詳しくは>>こちらから

騒音値を調べたいときは

当ページでお示ししたように騒音や低周波音の程度は数値によって表すことが可能であり、また、適した機材により測定を行うことでそれらの数値を明らかにすることが可能です。測定が必要な場合は是非、当社までお気軽にお問い合わせください(>>お問い合わせはこちらから)。

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