建物に関係する遮音等級まとめ
マンションなど建築物の壁や床、サッシなどに対して「どの程度の音を遮断できるか」を示す「遮音等級」と呼ばれる指標があります。この遮音等級は一種類ではなく、いくつかの種類があり、それぞれ別のものに対する遮音の度合いを表しているため「この等級は何の性能だった?」と混乱・困惑することも少なくありません(実際に筆者もたまに混乱します)。このページはそういった種々の遮音等級について、判別・理解しやすいようにまとめたものとなっています。
遮音等級とは
遮音等級とは「建築物や建具などに対して、どの程度の音を遮断できるか」を示す指標で、壁に対する遮音等級、床に対する遮音等級など、複数の種類があります。これらの数値を見たときゲームのレベルのように感じるかもしれませんが、各種遮音等級は数値が大きい程効果が高いとは限らないことに注意が必要です。なお、これらの遮音等級は特に建物内で防音性能や音漏れがどの程度ありそうか、といった内容を数値で把握するための基準となっていて、建材に対して建築基準法や建築関連の規格に沿った実験・測定を行うことにより定められています。
遮音等級の種類
建物に関係する遮音等級は主に以下の4種類に分類されます。
・D値(Dr値)
壁や建材の遮音等級で、発生させた音が壁などの建材を透過する際にどの程度遮断されるかを表していて、この数値が大きい程遮音性能が高いことを示します。例えば、D-60はD-50よりも遮音性能が高いことになります。
・ΔLL等級※
床に軽い(Lightな)ものが落ちたときの衝撃音をどの程度遮断するか、といった軽量床衝撃音の遮音等級です。この数値は小さい程遮音性能が高いことを示します。例えば、LL-40はLL-50よりも遮音性能が高いことになります。
・ΔLH等級※
床に重い(Heavyな)ものが落ちたときの衝撃音をどの程度遮断するか、といった重量床衝撃音の遮音等級です。この数値は小さい程遮音性能が高いことを示します。例えば、LH-40はLH-50よりも遮音性能が高いことになります。
・T値
サッシやドアの遮音等級です。T-1~T-4まで4段階に分かれていて、この数値は大きい程遮音性能が高いことを示します。例えばT-4はT-3よりも遮音性能が高いことになります。
・N値(NC値)
室内に届く外部設備の騒音に対する遮音等級で、大きく1級~3級に分かれています。N値は主に防音室を評価する際の基準とされています(他に「地盤の強度を数値化したもの」として同じ文字のN値がありますが、ここでいうN値とは異なります)。この等級は数値が小さい程その室内が静かであることを示していて、例えばN値1級の部屋は非常に静かであることを示します。NC値は部屋外部設備の騒音で特に定常的な騒音(エアコンなど音の大きさに変化がない騒音)に対する遮音等級で、概ね評価はN値と同様の形です。
※昔はL等級という等級がありましたが、見直しにより現在は上記の等級が定められています。
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【著者情報/略歴】2014年より日本騒音調査カスタマーサービス部門、HP記事担当。年間1,000件を超える騒音関連のお問い合わせに、日々対応させていただいています。当HPでは、騒音に関してお客様から、よくいただくご質問とその回答を一般化して紹介したり、当社の研究成果や学会(日本騒音制御工学会等)に寄稿した技術論文記事をかみ砕いて説明させていただいたり、はたまた騒音関連のニュースを解説させていただいたりしています。
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