受忍限度と耐え難い騒音、規制値の関係について

騒音関連の裁判における判例では「耐え難い騒音」「受忍限度」といった言葉がよく使われます。この言葉は騒音問題を解決する上で、非常に重要な役割を持ちます。ここでは「耐え難い騒音」と「受忍限度」、また、受忍限度と基準値や規制値との関係について説明します。

関連コンテンツ:騒音訴訟と判例/裁判所の判断

全ての騒音が規制対象ではない

人が生活するうえで全く音を出さないということは不可能です。しかしだからと言ってどんな音を出しても良いわけではなく、このことから受忍限度を超える騒音(つまり耐え難い騒音)に関しては各種法律や条例で制限されています。受忍限度とは定性的には「社会生活を営む上で、我慢するべき限度」のことです。逆に言えば受忍限度を超えていない騒音に関しては受忍すべきということを示していると言い換えることもできます。

受忍限度の判断基準

発生している騒音が受忍限度を超えるかどうかを客観的・多角的に議論・検証・判断することは非常に難しく、たびたび争点となります。というのも受忍限度は「社会通念上」の我慢の限度であるため、個人間の話し合いでは明確な基準を定めた上での総合的な判断ができないためです。騒音訴訟では主に被害の性質、程度、加害行為の公益性の有無、態様、回避可能性等の一般的な基準について裁判の中で決定され、それらの基準を超えるかどうかが総合的に判断されることで最終的に「受忍限度内であるかどうか」ひいては損害賠償や差し止めが認められるか否か、といった判決が下されます。

受忍限度と基準値・規制値

騒音に関しては各種法律や条例で基準値や規制値が定められていますが、受忍限度=基準値、受忍限度=規制値という訳ではありません。受忍限度は「被害の程度が社会通念上我慢できる範囲」ですので、訴訟の際に基準値を上回っている証拠があっても騒音と認められない場合がありますし、下回っていて騒音と認められる場合もあるということです。ただし、だからといって裁判で基準値や規制値が軽視されるかといえばそうではありません。判例を確認すればわかりますが、騒音に関する訴訟の場合、いずれの裁判でも「基準値や規制値を超えるかどうか」は受忍限度の判断に関わる重要なファクターとして扱われています。
関連コンテンツ:騒音に関する規制と法律のまとめ

規制基準について例えば横浜市では「生活環境の保全などに関する条例」として下記のような規制基準が設けられています。例えば「第一種低層住宅専用地域」では午前8時から6時までの時間帯における基準は50db、午後11時から午前6時までの時間帯における基準は40dbとなっています。ちなみに40dbとは一般的に図書館の館内の騒音値と言われています。生活騒音条例基準値

生活騒音条例基準値

 

受忍限度は個人の感覚では判断されない

どんなに耐え難い騒音であっても個人の感覚(主観)だけでは基準値や規制値を超えるかを判断できません。例えば「深夜にも関わらずダンプカーのような音がする」と訴えてもこのような感覚値では基準値や規制値を超えているとは判断できませんので、当然、受忍限度を超えていることを証明することは不可能です。また、ボイスレコーダーなどの録音機器やスマートフォンの録音・測定アプリによって騒音を録音、測定したとしても「音がしている」と訴えることは出来ても「定量的に基準値や規制値を超える騒音が発生している」ことは証明できません。つまり、録音データやアプリの測定結果だけでは「受忍限度を超える」と証明するには比較的弱い証拠となる訳です。
基準値や規制値を超えているか否かを適正に判断し、第三者に対して受忍限度を超えていると証明するためには音圧レベル・騒音値(db)を測定することが出来る騒音計を用いて発生している音を計測する必要があります。

騒音測定なら当社にお任せください

当社では「発生している音を定量的に計測し、基準値・規制値を超えているかどうかを分析・解析により明らかにする」サービスを行っております。お問い合わせはこちらからお気軽にご連絡ください。>>問い合わせフォーム

関連するページ騒音に関する規制と法律のまとめ

低周波音とは
法人・事業所・各種団体様
騒音訴訟と判例 騒音トラブル事件簿

リンク

リンク

問い合わせリンク