うるさい物件にお住まいで引っ越しや住み替えを検討される際、「検討中の引っ越し先の騒音はどの程度だろうか」と考える・調べる方は相当数いらっしゃると思いますが、住宅情報を調べてもほとんどの物件には騒音の情報が記載されていません。しかし、騒音が元で家を引っ越す方にとっては「引っ越し先の家がうるさいかどうか」が物件選びの最重要項目であり、必ず詳細に判明させておきたい情報のはずです。このページでは、なぜ住宅情報に騒音の情報が記載されないのか、その理由と、静かな物件を探す具体的な方法について紹介しています。
住宅情報に騒音の情報が記載されない理由
住宅情報(不動産情報)に騒音の状況が記載されることが非常に少ない理由には、ネガティブなイメージを避けるため、という意図も確かに存在します。ただ、そういった理由だけではなく別の理由も存在します(以下の通りです)。
・マイナスイメージを避けたい
騒音の感じ方には主観が大きく関わります。というのも、電車や車の音を気にする人もいれば、まったく気にならない人もいるため、同じ環境下でも明確に「騒音が有る」、または「騒音が無い」と判断することは非常に難しいと言えるでしょう。現代社会において駅の近くに住宅が無いケースはあり得ますが、車道に面していない住宅はほぼ無いため、騒音の情報を記載するのであれば「車両による音が聞こえる」といった形になると考えられます。騒音について記載しなければならない場合、それがたとえ軽微な音でも上記のように「車の音が多少聞こえる」といったことを記載する必要が出てきます。それを見た方には「車の音がひどいのかもしれない」と、どうしてもマイナスのイメージを持つ可能性が出てきてしまいます。つまり、予定借主や購入予定者にネガティブな印象を与える可能性があるため、不動産業者はあえてその情報に触れない(記載しない)訳です。
・測定に関するコスト
もし住宅情報に騒音についての情報を公開(記載)するのであれば、「この物件は静かです」「うるさいかもしれません」といった漠然とした情報ではなく、どの程度の音量が周囲から聞こえるかを数字のデータとして表した方が信用を得られやすいはずです。そして、正確な騒音データを得るためには騒音計を用いて継続的な測定が必要になる訳ですが、一般的にはこの測定に非常にコスト(人件費や機材の費用)と時間がかかります。
・法律や条令によって規制されていない
日本の不動産広告に関する基準は「宅地建物取引業法」及び「不動産の表示に関する公正競争規約」「景品表示法」によって規定されていますが、騒音に関する情報の記載が義務付けられてはいません。特に記載を行う必要がないため、記載しないことが一般的でもある訳です。
・物件周辺の環境変化
どのような物件でも騒音は恒久的な(ずっと一定の)ものではありません。例えば物件付近の道路の交通量、工事、店舗や施設のオープンなど、周辺の状況によって騒音レベルは時間とともに変化していきます。物件情報に騒音について記載したとしても、近い未来に記載する内容が一致しなくなる可能性があるため最初から記載していない訳です。
検討中の物件について騒音の状況を詳細に調べるには
では、物件の騒音は全くわからないのか、というとそうでもありません。次のような方法で実際の物件の騒音状況を調べることが可能です。
・大家や不動産業者に居住者の騒音について質問する
大家や不動産業者に物件の騒音状況、特に騒音を出す居住者、騒音トラブルを起こした居住者がいないか等について直接質問することで明確かつ詳細な回答が得られる場合があります。特に大家には騒音その他のトラブルに対応する義務があるため、もしトラブルが起きていた、または起きている状況であれば更なるトラブルを防ぐため正確に回答してくれるはずです。
関連コンテンツ:騒音トラブルの責任は大家にもある?―マンション・アパートのオーナーが騒音トラブルに対してやるべきこと―:https://www.skklab.com/archives/7833
・内見時には周辺環境を含めて確認する
内見時に物件の内部を自分で確認することも重要ですが、周辺の状況について詳細に確認しておくことも重要です。例えば、周辺に幹線道路があって交通量が非常に多い場合もありますし、ショッピングモールや大型の歓楽施設、アミューズメントパークがあれば人の往来も多くなります。これら周辺の状況は昼夜や平日・休日で状況が異なるため、複数回、時間帯別に訪問することで検討の際に役立つ情報が得られるでしょう。特に、内見を伴わず周辺を確認するだけであれば不動産業者や大家の許可も必要ないため、最終候補の物件であれば何度も周辺を確認しておくことをお奨めします。
・住人や近隣住民の意見を聞く
人によっては非常にハードルが高くはありますが、実際にその地域やマンションに長く住んでいる人から直接意見を聞くことは非常に有効と言えます。ただ、初対面の方に質問することで不審に思われるかもしれませんし、人によってはトラブルになる可能性もあるので、もし引っ越し予定の物件や周辺に知人・友人、親戚が住んでいればその方に質問する、といった対応が良いかもしれません。
・騒音調査会社に騒音の調査を依頼する
戸建物件やマンションの購入費用は一般に非常に高額ですので、未来のリスクを回避するために物件の騒音調査(実際の音量の測定)が行われる場合があります(当社も多くのお客様にご依頼いただいております)。例えば、一昼夜や一週間など測定を行ってデータを分析すれば、その物件に届く音の昼と夜のデータや休日のデータを数値やグラフで把握することができます。また、現在住んでいる家でも測定を行えば、引っ越し先とどの程度データ上の差があるかを明確にすることも可能になります。
騒音の調査は当社まで
騒音その他データの収集や分析は、一般の方には難しくコストの面でも敷居が高いものですが、当社では比較的低コストで簡単に測定・分析を行えるプランを提供しております。騒音その他のデータが引っ越し先のご検討に必要となった際は、当社までお気軽にご相談ください(>>お問い合わせはこちらから)
【著者情報/略歴】2014年より日本騒音調査カスタマーサービス部門、HP記事担当。年間1,000件を超える騒音関連のお問い合わせに、日々対応させていただいています。当HPでは、騒音に関してお客様から、よくいただくご質問とその回答を一般化して紹介したり、当社の研究成果や学会(日本騒音制御工学会等)に寄稿した技術論文記事をかみ砕いて説明させていただいたり、はたまた騒音関連のニュースを解説させていただいたりしています。
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