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騒音の距離減衰のエクセルによる計算方法

こちらのページ(>>騒音の距離による減衰)では騒音の減衰についてその概略を説明いたしましたが、このページでは実際にエクセルを用いて減衰量を計算する方法を紹介いたします。

騒音の距離による減衰を算出するために用いたモデル

騒音の距離による減衰量は公式を使用することによってエクセルで簡単に計算することができます。今回は例として下記のようなモデルを考えます。つまり、騒音発生源の前方にP1、その先にP2という地点(点音源)があり、それぞれのポイントにおける音圧レベルをそれぞれN1、N2としています。つまり減衰量はN1-N2で表すことができます。

騒音の距離減衰量を計算する公式

騒音発生源とP1、P2の距離、およびそれぞれの地点での音圧レベルを用いれば減衰量は下記の計算式により求めることができます。

20×log10(D2/D1)=N1-N2

この式は4つの値のうち3つが明らかになれば後の一つの値を求めることができることを意味しています。例えばD1を5.0m、D2を6.0m、N1を70dbとすれば、P2での音圧レベルは68.4db、減衰量は1.6dbと即座に算出することができます。一方でP2とD1,D2からP1を算出することも可能です(この計算は実際に測定器を持って行けない場所の騒音値を推定し、類似条件の測定場所を提案差し上げる場合に使用したりします)。

距離による減衰幅は次第に減少する

P1での音圧レベルを一定として、P1とP2の間の距離(音の移動距離)を徐々に離していくと下記のようなグラフを描くことができます。はじめは少し距離が離れるだけで音圧レベルが大きく減衰しますが、距離が大きくなる程に減衰量は小さくなり、やがてほとんど減衰しなくなります。

エクセルファイルをダウンロード

上記のモデルにおける減衰量を計算したエクセルファイルはこちらよりダウンロード可能です(>>騒音の距離による減衰量の計算エクセルファイルをダウンロード)。お役に立てば幸いです。

音源毎の減衰量の違いについて

上記内容は条件をシンプルに点音源(ある点から球面上に音が伝播していく音源)として述べていますが、音源が線状である線音源や面状である面音源であればそれぞれ音の伝播の仕方が異なりますので、減衰量も異なります。線音源は音が音源を軸とした円筒状に広がるため、伝播距離が2倍になると面積が2倍になる形で音が伝わります。また、面音源の場合は伝播距離が何倍になっても面積がそのままの形で音が伝わります。これらの性質から、線音源の場合は「線音源の長さの概ね1/3」より遠い距離の場合に点音源と同様の計算式で減衰量の理論値を算出することができます。また、面音源の場合は「面音源の長辺長さの概ね1/3」より遠い距離の場合に点音源と同様の計算式で理論値を算出可能です。ただし、それぞれの距離から近い場合には点音源と同様には減衰量を算出することができないところに注意が必要です。

気温・湿度・反射・吸音など、音の減衰量に関わる諸条件について

より現実的な条件で減衰量の算出を試みる場合は、気温や湿度、周囲の構造物による反射や吸音も考慮するべきといえます。単純に音源のみが存在する世界であれば音源と距離から理論値を算出するだけでよいかもしれませんが、現実になんらかの設備を設置する場合には気温や湿度によって発生する音の屈折が起こり得ますし、周辺構造物はそれぞれ音の透過損失(または遮音性能)を有しているためです。つまり、もし理論値を現実に近づけたいのであれば「設置する設備の音源としての性質」、「減衰量を求めたい位置関係」、「気温と湿度による音の屈折」「周囲構造物による反射や吸音」などの諸条件を考慮に入れるとよいでしょう。

理論値と実際の減衰量は異なるため注意が必要

上記内容をお読みになればご理解いただけると思いますが、当記事における理論値は現実の世界にある諸々の環境的条件・物理的条件・機構的条件・構造的条件等が加味されたものではありません。したがって、上記演算によって得られる値は「程度・目安をざっくりと知りたい場合の理論値」であり、「実際に音源の音圧が~の機械を設置すれば~m間の距離で減衰量は必ず~になる」といった厳密なものではありませんのでご注意ください。なお、当社では騒音減衰量データをお求めのお客様(特に騒音を発生させる可能性がある機械や設備を設置予定の建築・施工業者様)からのお問い合わせを数多くいただいております。当社が測定・分析・報告を担当させていただく形でサービスを提供差し上げておりますので、騒音減衰量データその他各種音圧に関するデータをお求めの際はお気軽にお問い合わせください(>>お問い合わせはこちらから)。

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