最近「ノイズキャンセリングヘッドフォン」と呼ばれる、ノイズを除去してくれるヘッドフォンが発売されています。このヘッドフォンは従来型の耳栓やイヤーマフとは異なり、デジタル的に騒音(ノイズ)を軽減しています。この「ノイズキャンセリング機能」で騒音対策を行うことは可能でしょうか。結論から言えば「対策出来る騒音とできない騒音」があります。
そもそもノイズキャンセリングヘッドフォンは、ノイズを測定し、このノイズを打ち消す方向の「音を出す」ことによって、ノイズの影響を軽減しているものです。ここで重要なのは、ノイズを測定し、軽減するための音を出すまでの間にディレイ(遅れ)があることです。
すなわち、たとえば電車の運転音や扇風機の風きり音など「定常的に」発生している騒音については軽減することが得意ですが、物の落下音や人の話し声などをはじめとして、ほとんどの非定常的な音については、ノイズキャンセルが間に合わず、あまり騒音は軽減されないのです。
一方耳栓やイヤーマフはほぼすべての音に対して有効ですので、どのようなグッズで騒音対策を行うかは、お悩みの騒音の質によって使い分けることが望まれます。

【著者情報/略歴】2014年より日本騒音調査カスタマーサービス部門、HP記事担当。年間1,000件を超える騒音関連のお問い合わせに、日々対応させていただいています。当HPでは、騒音に関してお客様から、よくいただくご質問とその回答を一般化して紹介したり、当社の研究成果や学会(日本騒音制御工学会等)に寄稿した技術論文記事をかみ砕いて説明させていただいたり、はたまた騒音関連のニュースを解説させていただいたりしています。
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