風力発電施設から発生する騒音指針値(残留騒音とアノイアンスを考慮した指針値の関係)
平成29年5月環境省から「風力発電施設から発生する騒音に関する指針値」が示され、指針値はアノイアンス(音にかかわる不快感)を考慮して残留騒音+5db とし下限値35db または40db とするとされました。
残留騒音の水準と地域と指針値
表:残留騒音の水準と地域と指針値 | ||
残留騒音の水準と地域 | 指針値/(下限値) | |
30db以上 | 残留騒音+5db | |
30db未満 | ・学校や病院等の施設があり特に静穏を要する場合 ・地 域において保存すべき音環境がある場合 |
(下限値)35db |
上記以外の地域 | (下限値)40db | |
・A 特性音圧レベルで評価 | ||
・昼間(午前6時から午後 10 時まで)と夜間(午後 10 時から翌日の午前6時)で評価 | ||
・本指針は、騒音に関する環境基準、許容限度や受忍限度とは異なる |
残留騒音と指針値の騒音レベルの関係
残留騒音と指針値の騒音レベルの関係はついては下記のグラフの通りです。原則は残留騒音+5db が指針値となりますので、例えば残留騒音が40dbの場合、指針値は45db となります。一方で残留騒音が30デシベルを下回る場合は残留騒音が何デシベルであってもそれ以下とはならない「下限値」が規定されており、「静穏を要する地域」の場合、下限値は35db となっています。
残留騒音の定義と評価方法
残留騒音は下記のように定義されていますが、実務的にはLA90+2dbが持ちいれられています。
○残留騒音:一過性の特定できる騒音を除いた騒音
○風車騒音:地域の残留騒音に風力発電施設から発生する騒音が加わったもの
その他
・風力発電施設は国内外を問わず設置数が大きく増加していますが、一方で、そこから発生する騒音等については、不快感の原因となることや健康影響の懸念等が指摘されています。
・風力発電は静かな場所に設置されることが多いことまたその音の特性から実際に発生している騒音騒音レベルよりもよりもアノイアンス煩わしさが高くなる傾向があります。
・実際の閾値としては風力発電施設から発生する騒音レベルが35デシベルから40デシベルを超えると睡眠への悪影響が発生する可能性があることが知られています。
・騒音はその聞こえ方に個人差があり、また様々な条件によってアノイアンス/わずらわしさは異なるため閾値を超えなければ直ちに問題がないとは言い切れず、出来る限り騒音の影響を抑えることが望まれます。

【著者情報/略歴】2014年より日本騒音調査カスタマーサービス部門、HP記事担当。年間1,000件を超える騒音関連のお問い合わせに、日々対応させていただいています。当HPでは、騒音に関してお客様から、よくいただくご質問とその回答を一般化して紹介したり、当社の研究成果や学会(日本騒音制御工学会等)に寄稿した技術論文記事をかみ砕いて説明させていただいたり、はたまた騒音関連のニュースを解説させていただいたりしています。
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