マンション住民の騒音被害に慰謝料の支払いを命じた事件

判決

・被告は原告らに対して計70万円の慰謝料を支払うこと
・被告は訴訟費用の1/6を負担する事

事実

・原告らは被告からマンションを購入して住んでいた。
・被告は不動産会社である。

騒音調査の結果

サッシを締めた状態で50ホンを超え、最大で60ホンを超える騒音が認められた。
※ホン:A特性におけるデシベル(dB)と同一視されていた。過去に使われていた騒音レベルの単位。1000ヘルツの純音のホンは、その音圧レベルを表すデシベルに等しい。

原告の主張

・被告はマンションの防音性能を誇張していた。
・マンションはJR線路と隣接していて、線路から距離10m地点の騒音レベルは85ホンを超えていた。
・サッシの防音性能が25dBあるとして室内では60ホンを超えている計算になる。
・後日測定したところ、実際に60ホンを超える騒音が発生していた。
・室内騒音の許容値は40ホン以下である。
・かかる欠陥を有するマンションでは100万円以上の価値の下落があるはずである。
・不快感、睡眠妨害、その他行動への妨害を考えると財産的損害は100万円を下らないはずである。

被告の主張

・防音性能の誇張は認める。
・マンションはJR線路と隣接していることは認めるが、室内で騒音が発生していたことは認めない。
・サッシの遮音性能は25dBであるので、その防音性能は高いはずである。
・損害賠償については争う姿勢である。

裁判所の判断

・マンションのパンフレットには問題なかったが、被告会社のセールスマンが、高性能防音サッシを使用しているから騒音は大丈夫だという発言をしたことが問題である。
・サッシを締めた状態でも電車・貨車の通過時には、50ホンをこえる騒音があること、線路にもっとも近い部屋では60ホンをこえる騒音があることも認められる。
・「騒音に係る環境基準について」によると、望ましい基準として昼間50ホン以下、朝夕45ホン以下、夜間40ホン以下とされていることが認められる。
・騒音の影響で寝付けない、眠りが浅いといった不眠、不快感を受けていることが認められ、その騒音は受忍限度を超えているといえる。
・マンションの価値の下落を認めうる的確な証拠はないため、財産的損害の賠償を求める原告らの各請求は、失当という他はない。
・被告は原告らに対し、不眠、不快感といった精神的損害を与えており、その損害を賠償する責任を負うというべきである。
・したがって計70万円の慰謝料を支払うことを認めるのが相当である。

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