立体駐車場の操業主に対する損害賠償請求が一部認容された事件

判決

・被告は原告に対して221万円及び支払済みまで年5分の割合で金員を支払うこと
・訴訟費用は2/5が被告の負担

事実

・原告は愛知県名古屋市のマンション所有者及びその居住者。
・被告は上記マンションに近接するスーパー銭湯の経営者。
・訴訟以前に調停を行なっていた。

騒音調査の結果

騒音測定の結果、時間率騒音レベルは中央値で52dB~58dB、ピーク値で55dB~68dBであった。
※時間率騒音レベル
騒音測定の結果から騒音レベルを時間毎の累計度数分布で表したもの
※当時の騒音規制基準は時間率騒音レベルの中央値(L50)が重視されていたが、等価騒音レベル(Leq)が騒音値をみる基準になりつつあった。

原告の主張

・スーパー銭湯は夜間の騒音の基準値を超えた騒音を発生させているため違法といえる。
・調停による遵守事項である「案内板の掲示」がなされていない。
・また、調停による遵守事項である原告立会の騒音調査を行なっていない。
・調停以後の騒音の被害が増大している。
・賃貸契約者への賃料を減額することになった。
・騒音対策工事により530万円の被害を被った。
・慰謝料及び損害賠償として計768万円の支払いを求める。

被告の主張

・立体駐車場は規制の対象ではなく規制値がないため違法とはいえない。
・調停の条項に「異議申立及び請求をしない」があり損害賠償の請求は認められない。
・騒音調査は怠っていたが調停におけるその他の点は全て履行している。
・調停前より本件訴訟中の騒音測定値の方が低くなっている。
・原告建物は繁華街に建てられているため多少の騒音で賃料に影響はない。
・騒音対策の費用は215万円で足りるはずであり768万円の支払いは妥当ではない。

裁判所の判断

・騒音規制法、振動規制法、条例では立体駐車場が規制対象外であると認められる。
・しかし、騒音規制法の趣旨により、規制対象外施設の騒音も受忍限度の判断における重要な要素であるため被告の規制対象外であるという主張は採用しない。
・騒音調査を怠った事実は認められるため債務不履行といえる。
・測定結果では10時以降も低下が見られていないため、違法といえる。
・原告建物は繁華街に建設されており、これを借りるものは生活環境より交通の利便性を求めるものであるといえるため、賃料の減額による損害は全てを認めることができない。
・調停における事項から、騒音対策の費用は215万円の4割とするのが適当である。
・以上から被告は原告に対して計221万円及び支払済みまで年5分の割合で金員を支払うことが相当である。

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