振動測定調査のポイント

当社では日々さまざまなお客様向けに振動調査を実施しております。このページでは振動を測定する際に留意するべき、いくつかのポイントを紹介差し上げます。
 

何のために振動を調査するのか、測定の目的を明らかにする

振動の測定を行う場合は、はじめに「何のために振動を調査するのか」を明らかにする必要があります。たとえば「工場の振動を測定したい」場合でも、工場から発生している振動を測定し明らかにしたいのか、それとも自分の家まで届いている振動を明らかにしたいのか、また測定結果の活用方法についても、単純な管理のために使用するのか、第三者との話し合いのために活用するのか、などを明らかにする必要があります。
これらの目的によって、何点測定するのか、どれくらいの期間測定するのか、どのような分析をするのかなど、測定の前提となる条件が変わるためです。

振動計(レベル計)はどのような場所に設置するべきか

振動の測定調査では振動計の計測部(ピックアップと呼ばれます)をどのように設置するのかが最も重要となります。設置が不適切な場合、本来の振動以上に測定される場合もありますし、逆に実際のあたいよりも小さく計測されてしまう場合もあります。

法令に定められた振動計(ピックアップ)設置方法

1 緩衝物がなく、かつ、十分踏み固め等の行われている堅い場所
2 傾斜及び凹凸がない水平面を確保出来る場所
3 温度、電気、磁気等の外囲条件の影響を受けない場所

振動測定の際の一般的な注意点

①振動ピックアップを設置する面は固い面とし、地表面を強く踏み固め、雑草等 が生えている場合には、これらを引き抜いた後で踏み固める。
②鉄板、コンクリートなどで滑りやすい場合は、両面テープ等で振動ピックアップ が動かないように固定する。
③草地、畑地、砂地等で地中まで柔らかくなっている場所での測定は避け、代わ りの測定場所を探す。
④どうしても適切な場所がなく上記のような場所で測定を行う場合は、下記のよう に措置する。
・ コンクリートブロック等を土中に埋め込み、その上に振動ピックアップを設置 する。
・ アルミ板を杭で固定して、その上に振動ピックアップを設置する。
・ せっこうで地表面を固めて振動ピックアップを設置する。
⑤ 測定員の歩行等による振動が測定値に影響する場合があるので、振動ピックアップの周りを歩かない。

振動測定の場所と位置

振動を計測する場所は、基本的に敷地境界で行われます。たとえば、特定工場から被害を受けていると見られる住宅があったとして、「特定工場から基準値以上の振動が発生していることを明らかにしたい場合」には、工場の敷地境界で実施することが望ましい(工場にとって厳しい条件)でしょうし、「被害者宅に基準値を超える振動が到達していることを明らかにしたい場合は」被害社宅の敷地境界にて振動を測定することが望ましいと考えられます。

測定結果はどのように評価するか

振動はその発生源によって、波形や特性が異なります。それぞれの波形に対して下記のような適切な評価を行うのが適切とされています。

波形例

説明

測定値の分析決定方法

  指示値が変動せず、又は変動が少ない場合 その指示値
  指示値が周期的又は間欠的に変動する場合 変動ごとの最大値の平均値
  指示値が不規則かつ大幅に変動する場合 5 秒間隔 100 個以上又はこれに準 じる間隔と個数の測定値の Lv10

ただし、上記の評価方法は従来アナログ式の計測器のために規定されていたものであり、当社でも使用しているデジタル式の計測器では、さらに細かい測定間隔で多くの測定値を解析する(たとえば0.1秒間隔で3000~6000ポイント)ことが主流となっています。


従来型のアナログ振動レベル計(測定値を目で見てメモする)

振動を測定するべき時間帯

何時振動を測定するべきかは、その調査目的によります。もし苦情申立人がいるのであれば、その方が被害を感じている時間帯に測定をするべきです。振動の状況や傾向把握が目的であれば24時間調査、曜日ごとの傾向を見るために一週間は測定をしたほうが良いでしょう。また振動規制法では昼間と夜間で基準値が分かれていますので、法令基準値との比較をしたい場合には、時間を分けて(あるいはまたがって)測定を実施するべきです。近年使用されているデジタル振動計は比較的長期の調査が可能ですので、長めに測定を行っておいて、後に必要なデータを抽出する方法が多く行われています。

振動計測に使用する装置

振動を測定するためには「振動レベル計」と呼ばれる測定器が用いられます。これらの測定器は振動の大きさ、とりわけ人が感じる間隔地補正を行った振動レベルを測定できる必要があります。当社ではリオン社(RION)のVM-53Aを使用しております。

スペック リオンVM-53A

形式承認番号 第W031号
適用規格 計量法・振動レベル計 JIS C 1510:1995
測定周数範囲 振動レベル:1~80Hz、振動加速度レベル:1~80Hz
測定レベル範囲 振動レベル Lv-Z25~120dB、Lv-X/Y30~120dB
振動加速度レベル Lva30~120dB(OdB=10-5m/s2
周波数補正 鉛直振動特性(計量法またはJISによる)、水平振動特性(JISによる)、平たん特性(JISによる)
レベルレンジ 10dBステップ6レンジ切替、3方向独立
10~70、20~80、30~90、40~100、50~110、60~120dB
リニアリティレンジ 70dB
測定時間 設定された測定時間で演算測定が可能。10秒、500秒、1分、5分、10分、15分、30分、1時間、4時間、8時間、24時間、マニュアル(最大199時間59分59秒)
サンプリング周期 78µs(パワー平均、Lmax、Lmin、最大値ホールド)
100ms(Lx)ただし、測定時間500秒の場合のLxは5秒
電源 単2形乾電池×4、ACアダプター
使用時間 アルカリ乾電池(LR14):約35時間
マンガン乾電池(R14PU):約12時間
常温、3方向の瞬時値測定、バックライトOFF、オプションOFF、交流出力の設定
消費電流 約120mA(DC6Vにおいて)
使用温度範囲 -10~+50℃、90%RH以下(結露のないこと)
寸法 約203(W)×56(H)×175(D)mm
重量 約1kg(電池含む)
振動ピックアップ 型式 PV-83C(3方向型)(特許第2581901号)
基準感度 60mV/m/s2
寸法・重量 φ67×40.7mm・約355g
防水性 JISCO920保護等級7(防浸形)

>>カタログ

>>メーカー取扱説明書(当社からお貸し出しする場合にはわかりやすい簡易説明書を同梱しております)

振動の周波数ごとに、人の感じ方は異なる

振動測定の計測器を使用しなくても大まかな振動の周波数(振動数)を類推することは可能です。おおむね0から10Hz程度の周波数の場合は(もちろん触れ幅にもよりますが)ゆっくりした動きで「目視」が可能な場合があります。次に10から1000Hz程度の振動数の場合は、目で見ても振動を見ることは難しいですが、手で触れると振動していることが分かります。1000Hzを超える振動の場合は、手で触っても感じないが音として耳で聞くことができる場合があります。
 上記のようにデジタル的に数値で分けられるわけではなく、実際にはグラデーションになっていますし、人の感覚にも依りますが、振動を測定調査する前の目安にはなるかもしれません。

振動の測定調査なら当社にお任せください

振動の被害が発生している場合、まずは「どの程度の振動が発生しているか」を明らかにすることが重要です。当社では振動の測定調査サービスを提供しておりますので、当社にお役に立てることがございましたら、お気軽にご連絡ください。

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