カラオケの騒音について営業差止と損害賠償が認められた事件

判決

・午前0時から午前4時までのカラオケ装置の使用禁止、また第三者の使用禁止
・被告は原告らに対して計70万円支払うこと
・被告は訴訟費用の2/3を負担する事

事実

・原告らは札幌市豊平区に住んでいる
・被告は札幌市豊平区にカラオケボックスを設置した。
・第二種住居専用地域
・暗騒音は36~38ホンである。
※ホン:A特性におけるデシベル(dB)と同一視されていた。過去に使われていた騒音レベルの単位。1000ヘルツの純音のホンは、その音圧レベルを表すデシベルに等しい。

騒音調査の結果

騒音計で騒音値を測定したところカラオケボックス営業時間に45~80ホンの騒音が発生していることが分かった。

原告の主張

・カラオケボックスからの機械演奏音が聞こえ、かつ低周波の圧迫感、振動感が間断なく続き、原告らは頭痛や不眠に悩まされている。本来休息の場である住宅の機能を侵害され、その利用価値を損なわれている。
・発生している騒音は受忍限度を超えている。
・カラオケボックスの午後10時から午前4時までの営業の差止め、損害賠償請求権に基づく金30万円及び年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

被告の主張

・受忍限度は超えていない。
・騒音を発生させないように各ボックスの壁に四重の防音装置を施した上、換気扇にも外から防音シートを張った。
・防音シートを詰めた看板も設置し、車両の騒音などに対しても配慮を行なった。
・利用客の車の出入り、話し声等による騒音防止のため、注意事項を明記した立看板等を設置した。
・カラオケボックスの営業休止前後に測定を行ったが、近隣道路の車両騒音を超過した結果は出ていない。

裁判所の判断

・市の建築確認がおりる前、住民との事前の話し合いや連絡がないまま、居宅と隣接する位置にカラオケボックスを設置していて、地域住民の多数の反対にあっている。
・被告と地域住民との話し合いがあったが、合意が成立していないうちに営業が始められている。
・当該地域の環境基準は午後10時から午前6時まで40ホンである。
・騒音が顕著になるのは午前0時以降で、カラオケ音のみでも原告らの居宅室内で37~46dB(A)、境界地上5mで46~53dB(A)、1.2mの地点で50~58dB(A)と基準値を上回る。
・さらにカラオケ騒音の他に、利用客による自動車騒音、話声等による騒音などカラオケボックス外で生じる騒音もある。
・原告らが前記被害につき精神的苦痛をうけたことは見やすい道理である。
・カラオケボックス営業を制する手段としては、午前0時以降カラオケ装置を使用したり第三者をして使用させたりすることを禁じること以外には有り得ない。
・慰謝料金額は、原告Aについては金30万円、原告B、Cについては各金20万円とするのが相当である。

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