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騒音問題を解決する際に利用できる、公害紛争処理制度
この制度は騒音をはじめとする、公害に関する紛争について一般的な裁判による解決とは別に迅速かつ適正に処理する制度です。騒音や振動などの身近な公害から土壌汚染や大気汚染などの公害紛争も扱っています。この制度を所管しているのは公害等調整委員会、通称公調委です。
どんな公害が制度の対象になるのか
そもそも公害とは人の活動に伴い、人の健康や生活環境に被害が生じることを言います。騒音や悪臭を含む典型7公害がこの公害紛争処理制度の対象となります。たとえば低周波音は騒音または振動に関連付けられる公害の位置づけです。公害というと多くの被害者が出るものだけと思われますが、たとえ一人であっても被害にある程度の広がりがあればこの制度の対象となります。
民事裁判と比較すると、手間と費用が大幅に節約できる
一般的に民事裁判で争う場合 被害者は「個人の責任で加害行為と被害発生の因果関係」を立証する必要があります。たとえば近くのスーパーの室外機から発生している低周波音が原因で家や家具が振動しているとみられる場合、これを立証する責任があるのは被害者側です。裁判をする場合これらの立証にかかる費用や時間は被害者にとって大きな負担となります。
原因裁定によって因果関係を明らかにする
一方で何が原因なのか明確になっていない場合においても、公調委に相談すると費用や時間を抑えて専門的な判断(原因裁定)をしてもらうことができます。原因裁定とは公調委が被害について、加害行為と被害との間の因果関係に限定して法律的な判断を下すことを言います。
原因裁定の後に「調停」か「責任裁定」によって決着する
①調停:譲り合いによって解決できそうな場合
調停によって公調委が話し合いの触媒となり、譲り合いによって慰謝料などの合意を形成します。
②責任裁定:譲り合いによる合意は難しそうな場合
公調委が損害賠償の責任があるかないか、ある場合は賠償額がいくらなのかについて法律的な判断を下します。
【著者情報/略歴】2014年より日本騒音調査カスタマーサービス部門、HP記事担当。年間1,000件を超える騒音関連のお問い合わせに、日々対応させていただいています。当HPでは、騒音に関してお客様から、よくいただくご質問とその回答を一般化して紹介したり、当社の研究成果や学会(日本騒音制御工学会等)に寄稿した技術論文記事をかみ砕いて説明させていただいたり、はたまた騒音関連のニュースを解説させていただいたりしています。
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