Topics

どのような騒音が人体に悪影響をもたらすのか(騒音による健康被害)

健康被害は精神的なものと肉体的なものに分けられる

目には見えない騒音ですが、人体には様々な悪影響をもたらします。騒音が人体に与える悪影響は大きく分けると「精神的なもの」と「肉体的なもの」に分けることができます。(>>低周波音と健康についてはこちらをご覧ください)。

健康被害の原因として多いのは大音量

一般的に普通騒音の騒音問題として被害感覚が生じやすいのは大音量によるものでしょう。音楽や工事の音など「うるさい」と感じる音は、人間の精神に不快感をもたらし、結果として不眠や、うつ状態等様々な精神的悪影響をもたらすと同時に、聴力障害など、肉体的な悪影響も引き起こす可能性があります。
米国の疾病対策予防センターが調査した結果によると、110デジベルのチェーンソーの音を2分間聞き続ければ危険な状況に陥る(聴覚に悪影響をもたらす)と発表されています(>>騒音性難聴についてはこちらをご覧ください)。音楽活動を続けているミュージシャンが突然耳の不調を訴え音楽活動を中止するニュースを見ることがありますが、まさに大音量による被害が生じたことの現れです。

日常、生活の中での大音量にも注意


このような特別な存在だけに限らず、日本においてはパチンコ店内や宣伝スピーカー、BGM、駅のアナウンス、道路工事など日常的に大音量にさらされることも少なくないのですが、慣れと健康被害の感覚が薄いことで実際にはあまり問題視する人はいないようです。しかし、慣れているとしても大音量の騒音を長時間聞き続けることは難聴になる可能性が十分にあるため注意が必要です。
街中では移動中や作業中に音楽を聞き続けている若者を多く見かけますが、いつ難聴などの被害が現れるかわかりません。延々とイヤホンやヘッドホンを使用し続ける家族を見かけたら注意を促すことも大事です。
また、世の中にはまれに怒鳴り声など奇声をあげて近隣と揉め問題化する方もいらっしゃるようですが、大音量になれば精神的な迷惑だけでなく耳の障害を発症する可能性もあるので勇気をもって早めの解決を図ることが重要です。

悪口や性行為の声など、音量が小さい騒音問題もある


一方で音量が小さければ問題無いかというとそうではありません。「ア○」「バ○」「○ね」などの暴言や汚い言葉、悪口などは、たとえそれが小さい音量であったとしても、聞こえるだけで精神に大きな悪影響を与えることになります。問題なのは、大きさではなく、内容だからです。
他にも集合住宅における性行為の声や音についても、音量こそ大きくなかったとしても、気になりだすと、不眠など悪影響を与える可能性があります。
いずれの騒音についても「私は平気」という方もいらっしゃるでしょうが、一般に大多数の人は「気になる」ことでストレスを感じるため、理性では感じていないと考える小さなストレスでも蓄積を避ける方が無難です。

気にならない音にも注意が必要

近年の名古屋大学の研究では「無意識下の騒音」に対する発表が行われています。この研究では「大きな騒音を聞いた後に小さな騒音を聞くことで、小さな騒音に対するストレスはなくなるのか」を確認するための実験結果を基にしており、大→小の騒音を聞くことで表面的なストレスが小さくなったというアンケート結果に対して、無意識下ではストレスを十分に感じていた、という結果を示しています。つまり、この研究結果は「普段気にしていないような音に対して無意識下ではストレスを蓄積している可能性」を示しているため、「自身の生活には何も変化が無いのにストレスを感じる」といった経験がある方は周囲の音に対して注意深く観察してみることがストレス解消の糸口になるかもしれません。
関連サイト:名古屋大学研究成果発信サイト

関連記事