メモや日記は騒音の証拠になるのか、良い証拠にするためにはどうすれば良いか

騒音問題を解決するためには、まず自身が社会通念上我慢できない範囲とされる受忍限度を超えた騒音を受けていることを明らかにすることが必要です。そのためのひとつの方法として「いつどのような騒音を受けていたか」ということをメモや日記として記録する方法がありますが、果たしてメモや日記は、この証拠となりえるのでしょうか?
ここでは、メモや日記の証拠能力と証明力について解説し、メモをより良い証拠とするための書き方について紹介します。

 


メモや日記も十分に証拠になりうる

騒音の被害に遭っている場合、その状況をメモで記録しておいた方がよいと言われます。メモは自分で記入するものですので、証拠として採用されるのか不安に感じている人もいると思いますが、メモも十分に証拠とすることができます(実際に当社では「弁護士から指示を受けメモをとっている」という個人のお客様からのご依頼を多数受けております)。
ただし、有利な証拠として活用するためにはメモの書き方や内容等についていくつか注意すべき点があります。たとえば「手書き」のメモは、他人による偽造が難しいことから、証拠として一定の価値があるといわれています。また「主観的なうるささ」だけでなく、「定量的な騒音の大きさ」が記されていること、いつどのように、どの位の頻度で起こっているかといったことが記されていると、客観的に受忍限度が判断されるうえで有効となります。一方主観的なメモだけでは、証明力はさほど高くありませんので、別に他の証拠についても準備しておき、互いに補完するなどの工夫が必要です。

 

証拠能力、証明力とは何か


メモを証拠として用いる場合、特に「証明力が低いこと」が問題になりがちです。証拠として認められるはずなのに、証明力が低いとは、どのようなことでしょうか。これを説明するには「証拠能力」、「証明力」という言葉の意味が重要になります(証拠能力と証明力は言葉面がよく似ていますがその意味は異なります)。
証拠能力とは、証拠として採用される資格能力のことです。民事上では、証拠能力について規定はありません。メモをはじめ、あらゆるものを証拠として利用することができます。なお、刑事上においては、自然的・法律的関連性があること、および違法に集められた証拠でないことが、提出資料の証拠能力が認められる条件です。
これらの条件に合致していれば、メモについても証拠能力が発生します。したがって、騒音被害状況を記録したメモは、民事刑事両方において十分に証拠能力を有するものであるといえます。
一方、証明力とは、証拠能力が認められている証拠が持つ、裁判官の心証を左右する力のことをいいます。いわば証拠の価値の大きさを意味するものです。証拠の信用力、および証拠の持つ事実の推認力などが問われることとなります。
証拠能力が認められるもののうち、メモについては、本人が記録を目的として作成したものであり、合意を取り付けた書面などではありません。そのような性格から、証明力としては低くなるのが通例です。

証明力の高いメモにするために注意すべきこと


メモを証明力の高いものにするには、そのメモの内容の信憑性が高いこと、内容の裏付けが取れるものであるということを明らかにすることが重要となります。
以下のようなことに注意して、メモを残しておくと良いでしょう。

日付や時間を正確に記録する

メモの内容の信憑性を高めるために、日付や時刻は正確に記入しておきましょう。メモに記載されている内容の裏付けを取る際に役立ちますし、騒音問題においては、騒音の頻度を判断するためにも効果的です。日付により、連続性を証明することもできます。

騒音の事実だけでなく、具体的な事象や心情を記載しておく

騒音の事実とともに、騒音の内容や持続時間など、その時の状況がよくわかるように書かれたメモは、信憑性が高くなります。また、事実と合わせてその時の心情などを記録しておくとよいでしょう。騒音の被害による影響が判断される際に役立ちます。

連続性を持たせておく

メモを証拠とするにあたって、形式などは特に定められていません。しかし、ばらばらなメモよりも、メモ帳に連続して書いておくなどの方法をとることがおすすめです。連続性によりその都度記載していることがわかりますので、そのメモそのものの証明力が高くなります。
連続性を持たせるには、同じ様式で記録しておくことも重要です。ある時は紙のメモ、ある時はスマートフォンのメモ帳、というのは避けておいた方がよいでしょう。後日の改ざんが難しいという点でも、手書きによるメモが適しています。

他の証拠と同時に残しておく

同じ事象に対して2つ以上の証拠を残しておくことも効果的です。騒音の場合であれば、録音や騒音測定値などと一緒に残しておくことで、メモの証明力は大きく上がります。また、騒音状況そのものだけでなく、騒音主の状況や管理会社の対応についてもメモを取っておくのをおすすめします。

メモは積極的に活用しましょう

メモは騒音問題の所在を明らかにするために欠かせない記録であり、証拠となりうるものです。裁判になった場合はもちろんですが、管理会社にトラブルを相談する際に、被害状況を正確に説明するためにも大きく役立ちます。騒音問題でお悩みであれば、まずメモから、問題の証拠を集めていくことが大切です。
当社では定量的な騒音の調査データを書面として差し上げる騒音調査サービスを提供させていただいておりますが、調査をご依頼いただくとしても、調査報告書とは別にご依頼者様のメモがあるとさらに証明力が高くなる可能性がありますので、メモは積極的に活用するようにしましょう。

騒音測定は当社にお任せください

上記のとおり、騒音問題に関するメモの証明力をより高くするためには「騒音がどの程度のものであったか」を定量的に(数値として)目に見える形にしておくことが効果的です。当社では、低コストで長期間の測定結果をお伝えできる(長期間のメモと連動できるような)騒音調査サービスを提供しておりますので、お気軽にご相談ください(>>お問い合わせはこちらから)。

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