食品工場様、倉庫内および敷地境界線上における営業時間中の騒音の周辺住宅への影響評価

1.報告概要

○○○○フーズ株式会社様のご依頼により、騒音計による測定が行われ、騒音値の解析を行なった。

2.測定条件

測定日時
1.平成○○○○日11:00:00から○○○○日10:00:00まで
2.平成○○○○日11:00:00から○○○○日8:30:00まで
測定場所
埼玉県戸田市○○○○ 倉庫内及び敷地境界線上

3.測定機器と設定

・普通騒音計
周波数重み特性:A特性
時間重み特性:FAST
サンプリングレート:1sec

4.測定結果

以下に測定された騒音値の経時変化をグラフに示す。また、測定された各期間における瞬時値最大値(音圧の最大値)と等価騒音レベルを示す。尚、測定が行われた地点は用途地域の指定上、準工業地域であるため、埼玉県の環境基準より、地域類型はCであり、且つ車線を有する道路に面する地域である。従って、当該測定地点の環境基本法に基づく環境基準値(以下、基準値)は、
・昼間6:00から22:00まで 65 dB
・夜間22:00から翌6:00まで 60 dB
である。尚、以下グラフでは、
・倉庫内の騒音値:青
・敷地境界線上の騒音値:赤
として全ての結果を表示する。

4-1.○○○○日昼間の測定結果
(11:00:00から20:30:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・上記は倉庫内で作業、機械の作動が行われていた時間帯のデータである。
20:30:00前後まで倉庫内で音圧の大幅な上昇が確認されるため。

・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは
78.6 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは73.0 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-2.○○○○日昼間の測定結果
(20:30:00から22:00:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・上記は倉庫営業が完全に停止していた時間帯のデータである。
20:30:00前後まで倉庫内で音圧の大幅な上昇が確認されるため。

・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは
58.8 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過していない。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは69.9 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-3.○○○○日夜間の測定結果
(22:00:00から翌3:50:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・上記は倉庫営業が完全に停止していた時間帯のデータである。
3:50:00前後から倉庫内で音圧の大幅な上昇が確認されるため。
・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは58.9 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過していない。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは67.4 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-4.○○○○日早朝(時間帯は夜間)の測定結果
(3:50:00から6:00:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・上記は倉庫内で作業、機械の作動が行われていた時間帯のデータである。
※3:50:00前後から倉庫内で音圧の大幅な上昇が確認されるため。
・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは78.4 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは70.3 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-5.○○○○日昼間の測定結果
(6:00:00から20:30:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・上記は倉庫内で作業、機械の作動が行われていた時間帯のデータである。
※20:30:00前後まで倉庫内で音圧の大幅な上昇が確認されるため。
・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは75.9 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは74.5 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-6.○○○○日昼間の測定結果
(20:30:00から22:00:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・上記は倉庫営業が完全に停止していた時間帯のデータである。
※20:30:00前後まで倉庫内で音圧の大幅な上昇が確認されるため。
・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは56.4 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過していない。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは67.4 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-7.○○○○日夜間の測定結果
(22:00:00から翌4:30:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・上記は倉庫営業が完全に停止していた時間帯のデータである。
※4:30:00前後から倉庫内で音圧の大幅な上昇が確認されるため。
・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは57.2 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過していない。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは67.3 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-8.○○○○日早朝(時間帯は夜間)の測定結果
(4:30:00から6:00:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・上記は倉庫内で作業、機械の作動が行われていた時間帯のデータである。
※4:30:00前後から倉庫内で音圧の大幅な上昇が確認されるため。

・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは
69.7 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは70.1 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-9.○○○○日昼間の測定結果
(6:00:00から10:00:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・上記は倉庫内で作業、機械の作動が行われていた時間帯のデータである。
・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは75.0 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは72.8 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-10.○○○○日昼間の測定結果
(11:00:00から22:00:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは76.3 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは72.5 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-11.○○○○日夜間の測定結果
(22:00:00から翌6:00:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは76.7 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは69.8 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-12.○○○○日昼間の測定結果
(6:00:00から22:00:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは78.0 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは73.2 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-13.○○○○日夜間の測定結果
(22:00:00から翌6:00:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは76.5 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは72.1 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-14.○○○○日昼間の測定結果
(6:00:00から8:30:00まで)

図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この期間の倉庫内の等価騒音レベルは82.0 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・この期間の敷地境界線上の等価騒音レベルは73.2 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。

4-15.全測定における解析結果のまとめ

表.各期間・場所毎における等価騒音レベル
※○○○○日から○○○○日における倉庫内作業の有無は推定を含む

・営業停止時の倉庫内の等価騒音レベル平均値は57.8 dBである。
・営業停止時の敷地境界線上の等価騒音レベル平均値は68.0 dBである。
・営業時の倉庫内の等価騒音レベル平均値は76.7 dBである。
・営業時の敷地境界線上の等価騒音レベル平均値は72.1 dBである。

5.結論

全測定結の騒音値グラフ及び等価騒音レベルを第4章、4-1から4-14に記載したが、倉庫営業の有無に関わらず、敷地境界線上の測定結果では、全ての等価騒音レベルが基準値を超過している。この結果から敷地境界線付近の道路の交通量は比較的多く、元々音圧が高い地域であることがわかる。
尚、グラフを見ればわかるように、倉庫営業時に倉庫内で音圧上昇が見られても、敷地境界線上では音圧の上昇が見られない。これらのことから、倉庫内作業による周辺住宅への影響は皆無と考えられる。
また、4-15に各測定における等価騒音レベル平均値を記載したが、倉庫営業が行われた場合、倉庫外部へのトラック駐車等による外部への音圧上昇の影響は、平均から4.1 dB前後であると考えられる(営業時と営業停止時の敷地境界線上のデータ比較より)。従って、営業時、敷地境界線上では72.1 dB前後の音圧が発生することが示唆される。
しかし、距離による音圧減衰※を考慮した場合、騒音源からの距離5mで約14 dBの音圧低下(演算による予測値)し、さらに住宅壁面等障害物によって音圧低下が見込まれる。
上記より、営業によるトラック駐車等から周辺住宅内で騒音が発生する可能性は皆無と考えられる。

※営業停止時の敷地境界線上で68.0 dB(道路交通による音圧と考えられる) の音圧が、反響による音圧上昇が起きやすい倉庫内で57.8 dBまで減衰している。

6.受忍限度の根拠

6-1.環境基本法・環境基準
●騒音に係る環境基準 (H10.9.30環境庁告示第64号、H12.3.31東京都告示第420号))
6-2.判例

東京地裁  平成6.5.9 判例時報1527号116 .
東京地裁 昭和 63.4.25 判例時報 1274号-49
甲府地裁都留支部昭和63・2・26(判例時報1285号119)
京都地裁平成4・11・27(判例時報1466号126~)
福岡高裁那覇支部平成22・7・29(判例時報2091号162)

低周波音とは
法人・事業所・各種団体様
騒音訴訟と判例 騒音トラブル事件簿

リンク

リンク

問い合わせリンク