普通騒音計および精密騒音計による、異音発生源の周波数別音圧測定と騒音発生源の推定

1.報告概要

株式会社○○○○のご依頼により、騒音計による測定が行われ、騒音値の解析を行なった。

2.測定条件

測定日時
平成○○○○日から○○○○日まで
測定場所
東京都大田区○○○○、○○○○号室、○○○○号室、○○○○号室

3.測定機器と設定

1.
・普通騒音計

周波数重み特性:A特性
時間重み特性:FAST
サンプリングレート:1sec
2.
・普通騒音計 NL-22
・周波数重み特性:A特性
・時間重み特性:FAST
・分析周波数範囲:1/3オクターブバンド
・サンプリングレート:24h

4.測定結果

以下に測定された騒音値の経時変化をグラフに示し、測定最大値を記す。尚、下記4-1から4-6までの結果は測定データの同期のため、
・緑:303号室
・赤:403号室
・青:603号室
として全ての結果を表示している。また、今回の測定の目的から基準値との比較は行なっていないが、一般的に大音量と思われる70 dBを超える音圧が多数記録されている。
加えて、周波数毎の測定結果を4-7に示した。結果4-7のグラフでは周波数毎の音圧を青色で示しているが、測定場所は303号室であるため注意願う。

4-1.○○○○日昼間の測定結果
(14:05:00から22:00:00まで)

図:音圧レベルの経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この測定期間中の測定最大値は、403号室において15:09:51に測定された72.9 dBであった。

4-2.○○○○日夜間の測定結果
(22:00:00から翌6:00:00まで)

図:音圧レベルの経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この測定期間中の測定最大値は、303号室において5:20:03に測定された69.1 dBであった。

4-3.○○○○日昼間の測定結果
(6:00:00から22:00:00まで)

図:音圧レベルの経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この測定期間中の測定最大値は、303号室において19:03:31に測定された77.5 dBであった。

4-4.○○○○日夜間の測定結果
(22:00:00から翌6:00:00まで)

図:音圧レベルの経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この測定期間中の測定最大値は、403号室において22:14:35に測定された72.8 dBであった。

4-5.○○○○日昼間の測定結果
(6:00:00から22:00:00まで)

図:音圧レベルの経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この測定期間中の測定最大値は、403号室において7:00:22に測定された72.9 dBであった。

4-6.○○○○日夜間の測定結果
(22:00:00から翌6:00:00まで)

図:音圧レベルの経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この測定期間中の測定最大値は、303号室において0:41:27に測定された71.6 dBであった。

4-7.全期間中の○○○○号室における周波数毎の測定結果
(○○○○日14:05:00から○○○○日6:00:00まで)

図:周波数毎の音圧レベル
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:周波数(Hz)

・周波数毎の音圧レベルはいずれも高い数値が測定されていない。
・上記グラフからわかる通り、低周波、高周波の範囲で際立って高い音圧は見られない。
・尚、次ページに上記グラフの元となるデータを示した。

表.周波数毎の音圧レベル


図.結果4-1グラフ拡大図


図.結果4-2グラフ拡大図


図.結果4-3グラフ拡大図


図.結果4-4グラフ拡大図


図.結果4-5グラフ拡大図


図.結果4-6グラフ拡大図


図.結果4-7グラフ拡大図

5.結論

 騒音値グラフ及び各期間の最大音圧を第4章に記載したが、特に高い音圧を記録しているのは○○○号室における測定結果である(上記4-1から4-6のグラフで青が突出しているためわかりやすい)。次に、音圧で特徴的であるのは403号室の測定結果である。上記グラフを見てわかる通り、赤が最も突出している(音圧が最も高くなっている)点が多数見られる。上記で述べている音圧はそれぞれ数秒程度のものであり、
・車や機械の作動音のように継続的なものではない
・断続的であるが70 dB前後で一定の音圧を発生している
等のことが読み取れる。
ここで○○○○号室と○○○○号室の測定結果に着目してみると、○○○○号室より地上に近いはずの○○○○号室の音圧を○○○○号室の音圧が多数超えていることは不自然ともいえる。
従って、以上の考察を鑑みると3階から4階のやや4階よりの位置にかけて騒音が発生している可能性が高く、騒音発生源は4階付近の可能性が極めて高い。尚、同期させた結果からわかる通り、
・603号室でも高い音圧が記録されている
・303号室、403号室、603号室で同時に相応の音圧が発生している
等の理由から、上記騒音は人為的なものではない可能性もあり、建物自体になんらかの要因があることも示唆される。
また、結果4-7からわかる通り、低周波、高周波が発生している可能性は低いと考えられ、今回の測定結果で高い音圧の要因となっているのは通常、耳で聞こえる範囲(可聴域)の音圧であることが示唆される。ただし、今回の測定では周波数毎に特徴的な数値は得られていないため、周波数の観点から騒音源を特定することは非常に困難であるといえる。

6.受忍限度の根拠

6-1.環境基本法・環境基準
●騒音に係る環境基準 (H10.9.30環境庁告示第64号、H12.3.31東京都告示第420号))
6-2.判例

東京地裁  平成6.5.9 判例時報1527号116 .
東京地裁 昭和 63.4.25 判例時報 1274号-49
甲府地裁都留支部昭和63・2・26(判例時報1285号119)
京都地裁平成4・11・27(判例時報1466号126~)
福岡高裁那覇支部平成22・7・29(判例時報2091号162)

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