何が原因なのか、どこから発生しているかわからない不明音の発生原因例と対策
建物やその周辺ではさまざまな音が発生しますが、その中には何が原因なのか、どこから発生しているのかわからない、いわゆる「不明音」と呼ばれるような音も少なくありません。不明音の発生原因は様々ですが、その多くは熱および、風、設備によるもの、あるいは人間の生活によるものです。ただし、不明音は発生原因の究明とその対策が難しく、場合によっては問題がこじれて訴訟にいたる事例も少なくありません(例えば、顧客からの苦情に全く対応しなかった業者が「施工不良」を基に訴えられるケースなど)。
このページでは不明音の原因究明の手助けになるような、様々な不明音の事例と対策方法を紹介しています。
このページの目次
- 1 外壁PC板の熱収縮
- 2 型枠セパレータの熱収縮
- 3 笠木の熱変形
- 4 配水管横引き管(CD管)の笛吹き音
- 5 エキスパンジョン・ジョイント滑り材の不具合
- 6 内装材の熱収縮
- 7 給水配管支持部の劣化
- 8 排気ダクトからの低周波音
- 9 外部からの低周波音
- 10 ディスポーザー設備の低周波騒音
- 11 ウォーターハンマー
- 12 高層建築の風揺れ
- 13 騒音の放置は危険:心身への影響と近隣トラブルのリスク
- 14 ストレス、不眠…騒音が引き起こす健康被害
- 15 苦情が逆効果になることも。近隣トラブルを避けるための注意点
- 16 ホームセンターで手に入る騒音対策グッズ
- 17 【原因別】どこに相談すればいい?異音・不明音の相談先
- 18 不明音の発生源を調べるには
- 19 測定による発生源の特定・推定
外壁PC板の熱収縮
発生頻度
天気のよい日の昼間(昼・夕方)に多い 一日に数回
音の聞こえ方 音色
コン、バシ、パキ、バキッ。およそ65dBA~75dBA程度
※dBA:A特性におけるdB。A特性は人間の耳にどの程度に聞こえるかを機械におとしこんだ仕様。dBは音の大きさを表す単位。
原因、要因、対策
外壁PC板の熱収縮。発生部位は、PC板ボルト固定部と考えられた。聴感、測定、怪しい部分を除去した。また、断熱材を外壁PC板に付加して発生部位と原因を特定した。測定項目は音、振動、天候で、測定部位は、対象居室、外壁PC板、各所ボード壁、ボード天井である。 すべり材を入れ替え、ボルトをゆるめにして納めた。
型枠セパレータの熱収縮
発生頻度
気温の日変動が大きい春分・秋分の前後に特に多く発生する。一日中発生するが、正午から夕方にかけて多い 十五分に一回
音の聞こえ方 音色
コン、バキッ、パキ、コトコト
原因、要因、対策
建物の温度変化によって生じた熱応力がエキスパンション・ジョイント部に残された型枠セパレータに加わり、セパレータが変形する音と推測 型枠セパレータを切断した。その後、不思議音の発生は止まった
笠木の熱変形

発生頻度
夏の朝日が昇るときに多い 月に15回程度。
音の聞こえ方 音色
ゴン
原因、要因、対策
笠木と躯体外装とが緊結されており、それぞれの熱変形量が異なるため、朝、日光が当たり始めると「ゴン」という音が発生する 屋上に断熱材を塗布したが、効果がなかった。その後、なじんだらしく、不思議音の発生はなくなった。
配水管横引き管(CD管)の笛吹き音
発生頻度
季節的傾向穴井 住居内のユニットバスや台所の換気扇を作動したとき常に発生
音の聞こえ方 音色
ピー。500Hz帯域でピーク42db。騒音等級N-40
原因、要因、対策
CD管が壁を跨いで天井スラブ内に埋設されていたため、換気扇を動かすと、CD管内部を空気が流通して笛吹き音が発生した。 CD管エンドカバー部をパテ埋めした。対策後不思議音はなくなり、騒音等級はN-30まで低下した。
エキスパンジョン・ジョイント滑り材の不具合
発生頻度
春、秋の日中と夜間の気温差が大きいとき。建物に隣接する鉄道運行時、深夜~早朝に発生。
音の聞こえ方 音色
ゴン、コン、トン
原因、要因、対策
当初、居住店上部のトップライトの熱収縮と考え、トップライト部分の固定を開放して熱収縮に追従する仕様としたが、発生回数は減少したものの、鉄道通過時の連続的な発生音の解消には至らなかった。入居者への再ヒアリングなどから共用廊下のエキスパンション・ジョイント部からの発生が改めて予想されたことから、この部分について調査を行った結果、エキスパンション・ジョイント部のステンレスすべり材の滑りが悪く、微小な振動や熱伸縮に伴い不思議音が発生していることがわかった。 エキスパンジョン・ジョイント金物部分に防振ゴムを挿入した。その後、不思議音の発生は止まった。
内装材の熱収縮
発生頻度
季節的な傾向はなく、昼夜を問わず発生。 毎時10回以上発生。
音の聞こえ方 音色
戸境壁方向から、ピッ、ピキ、ピシという音に続いてサラサラというような音が発生。また、ピッ、ピキ、ピシという音が連続して天井を移動する。発生騒音の最大値はおよび50~60dBA程度。
原因、要因、対策
軟鉄下地の熱収縮により内装材から音が発生していると想定される。熱収縮の主要因としては戸境壁上部の鉄骨梁に設けられている給排気ダクトの可能性が考えられる。
給水配管支持部の劣化
発生頻度
季節的傾向はない 頻発
音の聞こえ方 音色
バンバンバン、ダンダンダンといった音250~500Hz帯域でピークを示す。レベルは70~75dBA程度。
原因、要因、対策
地下ピット内の給水配管の支持が不十分であった上に、支持部のさびなどの劣化に伴い、配管と支持金具にずれが生じた。その為、給水時に配管が動き固体音を発生させた。 配管を再固定した結果、発生騒音はなくなった。
排気ダクトからの低周波音
発生頻度
季節的傾向はない。 不定期
音の聞こえ方 音色
8Hzに卓越する特性を示す。客室内の襖(ふすま)などの建具ががたつく。
原因、要因、対策
コージェネレーションシステムの排気ファンの基本周波数と、ダクト内の気柱共鳴現象の周波数が8Hzでほぼ一致したことにより、低周波音が客室に伝搬して建具のがたつき現象が生じた。 排気ファンと気注共鳴現象の周波数をずらす目的で、排気ファンの回転数の変更、ダクトの長さの変更、消音器の設置を進言した。
外部からの低周波音
発生頻度
季節的な傾向はなく、昼夜問わず定常的に発生する。 常時発生
音の聞こえ方 音色
ズズズーンズズズーン、ゴウーンゴウーンというような音。脈動あり。
原因、要因、対策
外部からの低周波音がサッシから透過してきたもの。約200メートルの距離に新聞印刷工場、約500メートル離れた所に水処理工場、高架道路がある。工場の大型ファン・ボイラーまた高架道路の大型車走行時の道路床板の振動のいずれかが騒音原因と思われる 室寸法、開口部等の条件がほぼ等しい洋室二室のうち、一室からのみ発生していた。非発生室はベッドなどがあり、クローゼットもあるのに対し、発生室はOA機器机程度しかなかった。巧みに発生室内に吸音体(応接セットなど)を入れてみることを進言。
ディスポーザー設備の低周波騒音
発生頻度
近隣集合住宅竣工後に発生。 発生時刻に周期性がある
音の聞こえ方 音色
ウーンウーン。騒音レベルは40dBA以下。低周波音。
原因、要因、対策
近隣集合住宅に設置されたディスポーザーフロアの臭突換気の末端が集合住宅屋上のハト小屋に出ており、そこからの放射音が原因であった。臭突の経路上での共鳴音と考えられる。 臭突の経路内に消音チャンバーを設けることを検討したが、設置が困難であったため、ハト小屋上にチャンバーを設置した。設置後、問題は解消した。
ウォーターハンマー
発生頻度
季節的傾向はない。 不定期。二日間の調査の中で三回観測された。
音の聞こえ方 音色
コン、コンコンというゴルフボールを至近距離から落として連続的に跳ね返るような音。250Hz帯域でピークを持つ。レベルは30~45dBA程度。
原因、要因、対策
給水配管のウォーターハンマーによる固体伝搬音。別棟への給水配管が対象住戸の直下ピットを通っており、スラブから吊支持されていたため、固体伝搬音が発生した。
高層建築の風揺れ
発生頻度
春先、台風シーズンなどの強風発生時 強風時に頻発
音の聞こえ方 音色
トン、パキ、コンという衝撃性の音。またギーというきしみ音。騒音レベルは、大きい場合で35~40dBA程度。
原因、要因、対策
強風で建物全体が揺れる際、躯体の動きに追従できずに内装材にゆがみが生じ、それが戻ろうとするときに衝撃音が発生していた。また、躯体の動きに伴って内装材が躯体や他の内装材とすれる時の発生音であった。 仕上げボードと躯体が接触しているところはクリアランスを確保した。また、間仕切壁や天井の下地が固定されているところをフリーにした。その結果、稀な強風時は多少発生するが、一般的な強風時の発生はなくなった。
騒音の放置は危険:心身への影響と近隣トラブルのリスク
「そのうち慣れるだろう」「気のせいかもしれない」。そう思って、原因不明の音を我慢していませんか?しかし、継続的な騒音は、ご自身が思う以上に心身へ大きな負担をかけている可能性があり、また、対応を誤ると大きなトラブルに発展しかねません。
ストレス、不眠…騒音が引き起こす健康被害
騒音問題は、単に「うるさい」という不快感だけでは終わりません。人間の脳は、たとえ睡眠中でも周囲の音を処理し続けています。そのため、断続的に発生する騒音は睡眠の質を著しく低下させ、日中の集中力不足や気分の落ち込み、疲労感につながることがあります。また、「いつ、またあの音が鳴るのだろう…」という不安感や不快感は、知らず知らずのうちに慢性的なストレスとなります。このストレスが引き金となり、頭痛、耳鳴り、めまい、食欲不振といった自律神経の乱れにつながるケースも少なくありません。特に、人によっては「音」として聞こえにくい低周波音は、体で振動として感じ、「圧迫感がある」「気分が悪くなる」といった症状を訴える方もいます。少しでも体調に異変を感じたら、決して一人で抱え込まず、医療機関や専門家への相談も検討しましょう。
苦情が逆効果になることも。近隣トラブルを避けるための注意点
騒音の原因が隣人や他の住人にあると思われる場合、最もやってはいけないのが「直接、感情的に苦情を伝えること」です。相手に悪気がなかった場合、単に人間関係を悪化させるだけで問題解決が遠のきます。また、そもそも騒音の原因が隣人ではなかった(建物の構造が原因だったなど)というケースもあるため、早合点は禁物です。トラブルを避け、スムーズに解決するために、以下のステップを踏むことを推奨します。
- 管理会社や大家に相談する
まずは、客観的な第三者である管理会社や大家さんに連絡し、状況を説明して対応を依頼しましょう。 - 第三者を通して全体に伝えてもらう
集合住宅の場合、掲示板への注意喚起や全戸への手紙の投函など、個人を特定しない形で注意を促してもらうのが有効です。 - 自治体や専門家を頼る
管理会社が動いてくれない、または解決しない場合は、自治体の環境課などの相談窓口や、弁護士といった法律の専門家への相談も視野に入ってきます。
冷静かつ客観的な対応が、不要なトラブルを避け、早期解決に至るための鍵となります。
【騒音日記の記録項目】
・いつ?:日付、時間帯(例:深夜2時頃、平日の午前中など)
・どこで?:音が最もよく聞こえる場所(例:寝室の壁際、リビングの窓際など)
・どんな音?:具体的な音の表現(例:「パキッ」「ドン」「ブーン」といった擬音、金属が擦れる音、水が流れる音など)
・どんな時に?:音が鳴る直前の状況(例:強風の日、お湯を使った後、エアコンをつけた時など)
・どのくらい?:音の長さや頻度(例:一瞬だけ、数分間続く、1時間に数回など)
ホームセンターで手に入る騒音対策グッズ
原因が特定できていない段階での大掛かりなリフォームは推奨できませんが、市販のグッズで応急処置ができる場合があります。
・防音テープ・隙間テープ
窓やドアの隙間に貼ることで、外からの音の侵入や室内からの音漏れを軽減します。気密性が高まるため、冷暖房効率のアップも期待できます。
・防振ゴム・耐震マット
洗濯機や冷蔵庫、室外機など、モーターによる振動が原因と思われる場合に有効です。機器の脚の下に敷くことで、床や壁に伝わる振動を抑えることができます。
・吸音材・遮音シート
壁に伝わる音や反響音が気になる場合に試す価値があります。壁に貼り付けるタイプのものが手軽ですが、効果は限定的な場合も多いため、あくまで「お試し」と捉えましょう。これらの対策で効果が見られない場合は、やはり専門家による調査が必要となります。
【原因別】どこに相談すればいい?異音・不明音の相談先
音の原因にある程度の見当がついたら、いよいよ専門家への相談です。しかし、原因によって頼るべき相手は異なります。適切な相談先を選び、スムーズな解決を目指しましょう。
・家鳴り・建物のきしみ・構造の問題:施工会社、ハウスメーカー、工務店
建物の構造や建材に起因する可能性があります。まずは家を建てた・販売した会社に連絡しましょう。保証期間内であれば無償対応の可能性もあります。
・配管からの音(水の音、ウォーターハンマー現象など):マンションの管理会社、大家、指定の水道業者
集合住宅では、まず管理会社や大家さんに連絡するのが基本です。共用部分の配管が原因のことも多くあります。戸建ての場合は、地域の水道局指定業者などに相談します。
・換気扇、給湯器、エアコンなどの設備:機器のメーカー、設置業者、管理会社
経年劣化や故障が考えられます。保証書を確認しメーカーに問い合わせるか、賃貸の場合はまず管理会社・大家さんに連絡して指示を仰ぎましょう。
・近隣の生活音や室外機の音:管理会社、大家、自治体の環境課
直接の苦情はトラブルの元。必ず管理会社や大家さんといった第三者を通して相談しましょう。解決が難しい場合は、自治体の公害・環境担当部署も相談先となります。
・原因がわからない場合:騒音調査の専門会社
騒音調査の会社であれば、専用機材を使うことで音についてより科学的な分析が可能です。調査報告書は、その後の対策や関係者との交渉において、客観的で強力な証拠として役に立つ場合があります。
不明音の発生源を調べるには
聞こえている音を詳しく調べるために音量を測定することは勿論重要ですが、それ以前に「対象の音の性質をおおまかに調べること」も重要です。例えば、「不明音がする」というだけの情報では場当たり的に調査を繰り返すような方法しかとれません。しかし、「不明音がする、だいたい夜の11時くらいに聞こえ始め、明け方には収まる、概ねエレベーターの方向から聞こえるようだ」というような情報があれば、おおまかな場所や時間から測定対象を絞り込むことができる場合があります。つまり、不明音を詳細に調べるためには以下の情報をまとめておくことが肝心です。
・どのような種類の音が発生しているか
・騒音を感じられる時間帯
・上記の時間帯の中で強弱がある場合はいつ強い、弱い、といった情報
・騒音が発生していると思われるおおまかな場所や機械(場所の候補など)
なお、低周波音や振動など、感覚でどうしてもわかりにくい場合は測定器(騒音計、振動計、低周波音レベル計、精密騒音計など)を用いて、様々な位置で測定を行い、位置毎の客観的なデータを比較・対照することが発生源に近づく方法となります。
測定による発生源の特定・推定
不明音の原因と考えられる設備が複数あり、どの設備から音が出ているかが明瞭でない場合には騒音計による測定が有効です。騒音計は音圧(dB:デシベル)を測定するための装置ですので、設備の直近および離れた位置における各位置での測定・分析を行えば「どの設備で最も大きい音圧が発生しているのか」をデータ上で判断できるようになるためです。また、騒音計の種類によっては「周波数毎の音圧」をデータ化できますので、苦情が発生している部屋と設備毎に周波数毎の音圧を比較することで騒音源を推定・特定できる場合もあります。測定による定量的なデータ比較、騒音源の推定・特定をご検討の際はお気軽に当社までお声掛けください(>>お問い合わせはこちらから)。
また、下記ページでは上記の調査についてより詳しく説明しておりますので、調査等をご検討でしたら是非ご覧ください。関連コンテンツ:騒音調査による騒音発生源の特定・推定



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