騒音被害について警察に被害届を提出する際に必要となる事前準備と書き方・注意点

当社にいただくお問い合わせの一つとして「警察に騒音の被害届を出すにはどうすればよいか。書き方を教えてほしい」というものがあります。このページでは警察に相談に行く際に事前に整理しておくべき事柄や準備すべきことなどを中心に紹介いたします。なお、当ページで紹介している内容は一般的な被害届についてまとめたものです。実際の被害届の項目や書き方、提出方法は全国の警察で一律に同じであるかわかりかねますので、提出をご検討される際は前もってお近くの交番や警察でお確かめください。

被害届を出すことは騒音対策の一つの選択肢となる

マンションの上階や隣室の人間の物音がうるさい、お向かいの家が常に大音量で音を流していて迷惑だ…そんな騒音の悩みを抱えている方は少なくありません。引っ越しが簡単にできれば良いのですが、費用も時間もかかりますし、なかなかそのような対処ができると限りません。
とにかく相手に静かにして貰いたいというのであれば、段階を経て対処していく必要があります。問題のケースにもよりますが、警察へ被害届を出すという方法も選択肢の一つとなります。と言うのも、個人同士で解決しようとすると、余計ないさかいを招いたり、暴力などの重大なトラブルに発展したりと言うリスクが内在しているためです。

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そもそも被害届とは犯罪の捜査を実施してもらうために必要な書類


被害届とは、「自分がこのような犯罪被害にあった」ということを警察に提出し、犯罪の捜査を実施して貰うために必要な書類です。これを提出し受理されれば、同様の被害や問題が発生して通報した際に警察が対応しやすくなり、また犯罪の疑いがあると認められれば捜査が行われることになります。そして、実際に犯行が確認されれば警察が相手を逮捕することもできるようになります。

被害届に記入する7つの項目について整理しておく

被害届は、交番や警察署で入手することができます(警察官が書いてくれることもあるようです)。被害届には下記のような項目がありますので、事前に整理しておきましょう。
① 被害者の住居・職業・氏名・年齢
② 被害のあった年月日時
③ 被害のあった場所
④ 被害のあった模様
⑤ 被害金品(品名、数量、時価、特徴、所有者)
⑥ 犯人の住居、氏名または通称、人相、着衣、特徴等(不明の時は分からないで可)
⑦ 遺留品その他参考となるべき事項

騒音問題で被害届を受理してもらうのは難しい


騒音問題の被害届を受理するかどうかで警察が重要視するのは、「その騒音が犯罪として認められるか?」という点です。一般的に騒音トラブルにおいては、なかなか被害届は受理されないと言われていますが、それは日々多くの直接的な犯罪に対処している警察には「音に関する問題を犯罪として認定すること」自体が難しいからです。
例えば、「深夜に外で大騒ぎをしている集団がいる」や「隣の家の中にまで聞こえるほどの音量で、音楽を演奏している」といった明らかな迷惑行為は、条例違反に該当すると考えられます。ところが、「生活上、誰でも起こしてしまうような音」と判断されるようなケースの場合、それを規制するような法律は存在しません。具体的には、足音や家電の駆動音、扉を開け閉めする音などは「生活音」に区分され、生活する上で仕方のない音であると見なされた場合は法的に問題が無いと判断され、被害届が受理されません。
また、音に関する人の感じ方もそれぞれですから、正しく騒音である訴えもあれば、なんとなく警察に電話してみた、という連絡もあるでしょう。日夜そういった数多の苦情に対応している警察官が「簡単には騒音の犯罪行為として認めない」といったスタンスになるのは無理のない話といえます。
つまり、騒音の被害届を受理してもらうためにはこのようなスタンスの警察に「深夜に、必要が無いのに何度も扉を開閉して音を出し、明らかに周囲に嫌がらせをしている」など認められ、「犯罪(迷惑行為)に該当する」と判断される必要があるということです。

騒音の証拠を確保することが重要となる


警察が「受理すべき」と判断する被害届には「その騒音が明らかに嫌がらせで迷惑行為」と客観的に判断されるような情報をまとめておくことが必要です。例えば、騒音の証明を行う必要があれば「発生した音がどれくらいの音量であるかを計測器で測った報告書」が必要になりますし、音が原因で何らかの病気になったと証明する必要がある場合は、「医師の診断書」が求められます。また、一度や二度の間違い(突発的で度々起きないような騒音)は誰しも起こしえることと考えますので、「うるさいと感じた日時や状況」を動画などで日にち別に記録しておくことも望ましいでしょう。残念ながら「私がうるさいと感じている!」という訴えでは、届を出すことはできても、受理して貰うことは難しいのです。また、管理人や大家、あるいは本人に直接クレームを入れたのであれば、その記録も残しておくと良いでしょう。
中には「そこまでやるの?」と気おくれしてしまう人がいるかもしれませんが、警察や裁判官といった法律に従って対処する人たちは、とにかく具体的な証拠がないと対応できませんし、違法と判断しません。なぜならば彼らはその職務上、「その音は、本当に迷惑なものと認められるのか?ありもしないことを並べ立てているのではないか?」という第三者的な考え方も必要とされるからです。(騒音の第三者的な証拠が必要な場合は、もちろん当社がお手伝い可能です)

法的手段を活用する場合は専門家を活用した方が無難


上記のとおり、「個人で受理されるほど明白な騒音の被害届を作成する」ことは一般に難しいので、可能ならば弁護士や行政書士といった、法律の専門家にアドバイスを貰い作成された方が無難です(書類作成を代行して貰うこともできます)。勿論、個人で作成することもできますし、最寄りの交番などに書き込めば、警官が状況を聞き取った上で作成してくれる場合もあるでしょう。ところが、前者の場合は内容の不備や不足から受理されない可能性があり、後者の場合は「それは犯罪行為として認められない」といったスタンスの警官に、違法行為の内容を論理的に説明し理解を得なければなりません。専門家でない人が、それを最初から最後までやり通すことは難しいことですので、できれば早い段階から専門家の力を頼ることがおすすめです。

騒音の証拠提出を求められた場合は

「発生している違法行為の証拠(騒音発生を示す定量的な報告書)を警察に求められている」「弁護士に騒音の証拠提出を求められている」といった理由で当社にお問い合わせ・ご依頼されるお客様は少なくありません。音の大きさを定量的に明らかにして基準値や規制値を超える騒音であるかを確認するためには、測定器を用いた測定や分析を行って内容をまとめる必要がありますが、それらの作業は一般のお客様には難しいためです。当社では各種測定器(騒音計、低周波音レベル計その他)による測定値の解析・分析・報告といった業務を行っておりますので、定量的な報告書が必要な際は是非ご相談ください(>お問い合わせはこちらから)。

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