騒音測定時の雑音(暗騒音)はどのように扱い、補正すべきか

測定対象以外からの騒音(暗騒音)は必ず存在する

騒音を測定する際に騒音発生源である対象物からのみ、騒音が発生していれば雑音の無いピュアな音圧データを測定することが出来ますが、通常そのようなことはあり得ません。音響を厳密に測定するための無響室内でも全く暗騒音が無い状況というのは通常ありあえません。つまり、測定対象物から発生する音だけを厳密に測定するのは、通常非常に困難です。

複数の騒音が存在すると騒音は互いに干渉し、強めあう

騒音は波ですので互いに干渉しあいます。騒音源が複数あると、1か所の場合と比較して音圧レベルは高くなります。ただし、単純に足せばよいわけではなく、例えば55dbの音源が二つあると、合成音圧は理論的には58dbとなります。ちなみにその後もっと数を増やしていくと、音圧の増加はさらに下がっていきます。
いずれにしても、騒音源が複数ある場合、測定される音圧は複数の音圧を重ね合わせた合成騒音となることに注意が必要です。

暗騒音と測定対象の音圧差が小さいほど影響は大きく、10db以上でほぼ無視できる

一般的に暗騒音の影響は、測定対象との音圧差が10db程度あれば無視できるとされています。これはたとえば、大音量で音楽が流れている中だと、会話が難しいが、周りが静かな中だとスムーズに会話が出来るのと同じ仕組みです。周りの音、すなわち暗騒音が大きくなるほど測定対象を正確に測定するのは難しくなります。したがって本来騒音測定をする場合は十分に暗騒音と測定対象の音圧差が取れる状況で測定をするのが望ましい測定条件です。

暗騒音が無視できない場合は暗騒音補正を行う

暗騒音が無視できない、つまり10db等大きい音圧差が無い場合においては、暗騒音と測定対象両方の騒音を測定し、これらの値を用いて暗騒音補正を行います。暗騒音補正値K1は下記の式で算出することが出来ます

LT(db):(暗騒音を含む)測定対象音圧測定値
LB(db):暗騒音音圧測定値
K1(db):暗騒音補正値

K1=-10*log10(1-10^(-(LT-LB)/10))

この式に従えば、音圧レベル差ΔL=(LT-LB)が7dbの時K1が1.0db、つまり測定対象音圧から1.0dbを引けば、真の測定対象のみの音圧が算出できるというわけです。この式から暗騒音補正値K1と音圧レベル差には下記のような関係があることがわかります。


つまり、前述のとおり、音圧レベル差が低いほど、暗騒音の影響が大きいということです。例えばLT=60db、LB=53dbの場合、真の測定対象のみの音圧は59.0dbと算出することが出来ます。ちなみにこれらの補正値は実用級で 6 dB、簡易級で 3 dB以上の音圧差がある場合に適応するべきとされています。

(暗騒音を含む)
測定対象音圧
LT(db)
暗騒音音圧
LB(db)
音圧レベル差
ΔL(db)
暗騒音補正値
K1(db)
測定対象のみの
音圧
LT-K1(db)
60 59 1 6.9 53.1
60 58 2 4.3 55.7
60 57 3 3.0 57.0
60 56 4 2.2 57.8
60 55 5 1.7 58.3
60 54 6 1.3 58.7
60 53 7 1.0 59.0
60 52 8 0.7 59.3
60 51 9 0.6 59.4
60 50 10 0.5 59.5
60 49 11 0.4 59.6
60 48 12 0.3 59.7
60 47 13 0.2 59.8
60 46 14 0.2 59.8
60 45 15 0.1 59.9
60 44 16 0.1 59.9
60 43 17 0.1 59.9
60 42 18 0.1 59.9
60 41 19 0.1 59.9
60 40 20 0.0 60.0

上記補正値を算出した数式のエクセルファイルはこちらからダウンロード可能です。

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