低周波音(低周波騒音)と健康被害【原因不明の体調不良】
近年、人間の心身に被害を与えるような低周波音、いわゆる低周波騒音についての報道(ニュース)を目にする機会が増えています。つまり低周波騒音の被害が拡大しているといえますが、「具体的にどのような被害があるのか」まではあまり報道されることがありません。なぜなら、低周波音による人体への影響や被害には未だ不明の点が多く研究途上であり、被害を訴えても「原因不明の体調不良」と判断されがちであるためです。このページでは一般にあまり知られていない「低周波騒音による具体的な健康被害」についてまとめています。
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低周波音・低周波騒音とは
日本では周波数が1Hz~100Hzの音を低周波音と呼びますが、こういった低い周波数の音は元々人間の耳には聞きとることが難しく、人によっては音がしていると感じることすらできません。ただ、低周波音を聞いたり感じたりできる人は、晒される(さらされる)ことでストレスを感じ、過剰な低周波音に晒され続ければ様々な健康被害を引き起こすことになります。こういった「健康被害を及ぼす程の低周波音」を我々は便宜上「低周波騒音」と呼称しています。
低周波騒音による具体的な健康被害
低周波騒音は人間の心や体に大きな影響を与えるとされており、晒されることによって起きる健康被害・症状は多岐にわたります。低周波騒音に一時的に晒されることで起きる被害の最も代表的なものは「何となく寝られない」「寝ていても起きてしまう」「圧迫感を感じる」といったものですが、さらに長い期間低周波騒音に晒されていると頭痛や手足のしびれなどの症状を発症する例も少なくないようです。また、それら以外の症状の代表例としては以下が挙げられます。
低周波騒音の健康被害一覧
箇所 | 症状 |
精神 | ・幻覚 ・圧迫感 ・イライラ ・不眠 ・脱力感 ・不安 ・集中できない ・自律神経の乱れ(自律神経失調症) |
手・足・肩 | ・肩こり ・しびれ ・足がだるい |
胸・循環器 | ・吐き気 ・圧迫感 ・動機 ・息苦しさ ・めまい ・血圧上昇 |
脳 | ・頭痛 ・帽子をかぶったような感じ |
耳 | ・痛み ・耳鳴り ・ふさがり感 |
その他 | ・疲れやすい ・気持ち悪い ・脱毛 ・あごの痛み ・食欲不振 ・息苦しさ ・めまい ・圧迫感 ・不定愁訴 |
低周波騒音の被害相談事例
上記の症例以外に、当社には「どのような症状が出たか」といった具体的な被害の内容を含む相談が寄せられています。以下は当社へのお問い合わせの際にお客様からお伺いした具体的な被害・症状です。
・肩こりや耳鳴りがひどく、手に力が入らない。
・家にいるときのみ夜寝られないため、寝坊を繰り返す。
・特定の場所で寝ていると寝起きが非常に悪く、起き上がることが出来なくなってしまう
・隣人が機械を設置してから腹痛が続く
・ストレスがたまりうつ病を発症した
・騒音が気になるため防音対策をしたが改善しない
・耳が腫れて頭が痛い
・吐き気が止まらず目がちかちかする
・圧迫感を感じ押しつぶされるような感覚を覚える。
・怒りっぽく短気になった
・いつも心が休まらない
・家を離れると症状が改善する
・隣家がエコキュートを設置してから不眠の症状が出ている
・近隣の室外機からうなりのようなものを感じ不快
・付近に工場が建設されてから体がビリビリするようになった
・風力発電用の風車で家が振動していてストレスを感じる
低周波騒音の2つの特徴
低周波騒音には「不定愁訴と診断されることが多い」、「感じ方の個人差が大きい」という2つの特徴があります。これらの特徴が原因で家族や友人に相談しても「勘違い」「考え過ぎ」などと言われ、理解してもらえないことが多いようです(実際にそういった無理解が原因で相談することができず当社に問い合わせたというお客様が多くいらっしゃいます)。同時に、このような特徴から自身の症状の原因が低周波音・低周波騒音であると確信を持てずに被害に遭われている方、被害を受け続けている方が少なくありません。
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不定愁訴とは
不定愁訴とは「疲れがとれない」、「良く眠れない」など明確な症状が無く、何となく体調が悪いという自覚症状はあるものの、病院・医院で検査をしても病名がつかない(病名が分からない)症状の事を指します。
低周波騒音による健康被害では診断を受けても不定愁訴と判断される場合が多く、病名がつかず原因も分からないため、第三者から見れば「低周波音によるものである」といった客観的な証拠が無く、「自意識過剰だ」などと自分自身の問題と勘違いされがちです。
低周波音に対する感じ方の個人差
「低周波騒音について周囲に相談したが、理解してもらえなかった」という方は多いと思います。というのも、普通騒音(耳に聞こえる騒音)は殆どの人が同じように感じることが出来ますが、低周波騒音は感じることが出来る人と、全く感じない人がいるからです。これは人によって感じる音の範囲が異なるためで、低周波音を感じることが出来る人はこの範囲が広い(音に敏感)ということが出来ます。この個人差は通常であれば特に問題ありませんが、低周波騒音における被害に対しては別の意味合いを含んできます。低周波騒音の健康被害に遭った際、悩まれる方の多くは家族や近隣の住民に相談しますが、相談をしたとしても相談の相手が低周波音を感じることのできない人であれば「私は全く感じない」「あなたの考え過ぎだ」などと言われ理解が得られない場合があるためです。そういった場合は「低周波音はどのようなものであって」「実際の値がどの程度」であり、「被害を受けている可能性が高い」といったことを相手に理解してもらう必要があるといえるでしょう。
低周波騒音の評価と参照値
日本では低周波音に関する基準が明確ではなく、現在は環境省がガイドラインで定めている数値が「被害の可能性がある場合の目安」として話し合い等で用いられています。我々はこの数値を便宜上「参照値」と呼んでいて、低周波音の調査の際には参照値を超えるか否かによって低周波音の評価を行っています。
なお、参照値は周波数(Hz)ごとに音圧レベル(dB)の値が異なるため、参照値を超えるか否かを判断するには低周波音の周波数及び音圧レベルを測定できる低周波音レベル計等の測定器によって音を測定する必要があります。
低周波音の測定はなぜ重要か
低周波音の測定が重要である理由には、主に以下の4つが挙げられます。
1.被害を客観的な「証拠」として示せる
ご自身の体感や訴えだけでは、被害の深刻さを他者に理解してもらうのは困難です。専門家による測定で得られた「音圧レベル」や「周波数特性」といった数値データは、低周波音被害の存在を客観的に証明する強力な証拠となります。
2.発生源の特定に繋がる
「どこからともなく不快な音が聞こえる」という場合でも、専門的な測定を行うことで、音の発生源特定の可能性を高めることができます。発生源を特定することは問題解決に向けた最も重要なステップです。また、発生源の特定ができなかったとしても、データから発生源を絞り込むことができる場合があります。
3.最適な対策を講じるための指針になる
低周波音の対策は、その周波数や音の大きさに応じて最適な方法が異なります。測定結果を分析することで、「どの周波数の音を」「どのくらい下げる必要があるのか」が明確になり、工務店は防音材の選定や設置場所の工夫など、効果的な対策を無駄なく講じることができるようになります。
4.行政や隣人への相談や法的手続きで有利になる
測定データは、環境省が定める「参照値」と比較することで、訴訟の際に被害が社会的に許容される限度(受忍限度)を超えているかどうかを判断する基準となる場合があります。この客観的なデータがあることで、自治体への相談、あるいは隣人との交渉や調停・裁判といった法的な手続きにおいて、ご自身の主張をスムーズ・的確に行うことができます。
原因不明の体調不良に悩まされている方、周囲に理解されず困っている方は、まず専門業者に相談し、現状を正確に把握するための測定を検討することをお勧めします。
低周波音/低周波騒音の測定調査は当社にお任せください
低周波音は測定を行うための機材(測定器)が高額で希少性も高いため、調査料金が高額となり、調査を行うこと自体が通常困難です。当社では少しでも調査がしやすいようコスト、ひいては価格を抑えて低周波音を調査・測定できるサービスを提供していますので、調査をご希望の際はお気軽にお問い合わせください。