騒音訴訟と判例/裁判所の判断

従来騒音に関する訴訟で勝訴するのは難しいとされていました。しかし、最近の判例を見ると損害賠償請求や侵害行為の差し止めを認める事件が多くなってきたようです。

要求が認められた判例/棄却された判例

騒音に関する裁判とその判決(原告の要求が認められた判例と棄却された判例の両方があります)には以下のようなものがあります。

事件名称 判決(一部) 詳細リンク
上階子供の騒音に対する損害賠償請求事件 ・被告は原告に対して36万円支払うこと
・被告は訴訟費用の1/6を負担する事
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祈祷所からの騒音に対する損害賠償請求事件 ・原告夫に対して被告は602万5418円を支払うこと
・原告妻に対して被告は165万円を支払うこと
・被告は訴訟費用の3/5を負担する事
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エアコン室外機からの騒音に対する損害賠償等請求事件 ・エアコン室外機から発する騒音を原告の住宅敷地内に50デシベルを超えて到達させてはならない
・原告らに対し各10万円を支払うこと
・訴訟費用はその半分を被告が負担する事
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カラオケからの騒音について深夜の営業差し止めと 損害賠償が認められた事件 ・午前0時から午前4時までのカラオケ装置の使用禁止、また第三者の使用禁止
・被告は原告らに対して計70万円支払うこと
・被告は訴訟費用の2/3を負担する事
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店舗テナント内のライブハウスから発生した騒音が上階のレストランに対する不法行為として認められた事件 ・被告は原告に対して計228万円支払うこと
・被告は訴訟費用の1/2を負担する事
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マンション住民の鉄道騒音被害について、分譲した売主に慰謝料の支払いを命じた事件 ・被告は原告らに対して計70万円の慰謝料を支払うこと
・被告は訴訟費用の1/6を負担する事
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製材作業の騒音について隣家の損害賠償請求が認められた事件 ・被告らは原告らに対して計260万円支払うこと
・被告らは訴訟費用の1/3を負担する事
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マンション工事の騒音について業者の不法行為が認められた事件 ・被告らは原告らに対して計451,000円支払うこと
・被告らは訴訟費用の1/10を負担する事
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マンション建設による騒音被害でタクシー運転手への慰謝料が認められた事件 ・被告らは原告らに対して計35万円支払うこと
・被告らは訴訟費用の1/15を負担する事
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電車の音をマンションが反射することによる騒音の被害で損害賠償が認められなかった事件 ・被控訴人らの請求を棄却
・訴訟費用は全て被控訴人らの負担
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立体駐車場の操業主に対する損害賠償請求が一部認容された事件 ・被告は原告に対して221万円及び支払済みまで年5分の割合で金員を支払うこと
・訴訟費用は2/5が被告の負担
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スーパーマーケットの室外機による騒音被害への損害賠償請求と差止請求が認容された事件 ・被告らは原告らに対して計約100万円(\977,100)及び内約55万円(\548,000)における支払済みまで年5分の割合で金員を支払うこと
・被告会社は、騒音を原告らの指定した範囲に侵入させてはならない
・訴訟費用は4/5が被告らの負担
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電車による振動と騒音に対して鉄道事業者の不法行為が認められた事件 ・被控訴人は控訴人らに対して各22万8千円支払うこと
・訴訟費用は1/100が被控訴人の負担
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集合住宅内の騒音によりノイローゼ状態になったことで損害賠償請求が認められた事件 ・原告らは被告に対して計30万円及び支払済みまで年5分の割合を支払うこと
・訴訟費用は5/6が原告の負担
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ミシンによる上階からの騒音に対する差止請求が認められなかった事件 ・原告の請求を棄却
・訴訟費用は全て原告の負担
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新幹線の架線と高架橋の設置による被害への損害賠償請求が認めれた事件 ・被告は原告らに対して計約1850万円(\18,488,350)支払うこと
・訴訟費用は3/10が被告の負担
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大学合宿所の騒音と振動による被害により慰謝料の請求が認められた事件 ・被告は原告らに対して計45万円を支払うこと
・訴訟費用は1/15が被告の負担
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地下ライブハウスからの騒音と振動による不法行為が認められた事件 ・控訴を棄却
・控訴費用は控訴人の負担とする
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防音工事業者の損害賠償請求を主とする控訴が認められなかった事件 ・被告らは原告に100万円、及び支払済みまで年5分の割合の金員を支払うこと
・訴訟費用は1/7が被告らの負担
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解体工事の騒音と振動によるうつ病の悪化と自宅の損傷に損害賠償請求が認められた事例 ・被告らは原告に合計136万8157円及び支払済みまで年5分の割合を支払うこと
・訴訟費用は1/3が被告の負担
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オートレース場騒音の売却前説明を怠ったとする購入主から売主代理人への損害賠償請求が棄却された事件 ・原告の請求を棄却
・訴訟費用は全て原告の負
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公衆浴場のボイラーにより騒音の被害を受けたとする住民の損害賠償請求が棄却された事例 ・原告らの請求を棄却
・訴訟費用は全て原告らの負担
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学校のエアコン室外機の騒音が隣地居住者への不法行為にあたるとされた事件 ・被告は設置管理する高等学校の校舎南側に設置したエアコン室外機から発する騒音を原告らが居住する居宅敷地内に50dBを超えて到達させてはならない。
・被告は原告らに対して各10万円を支払え。
・訴訟費用は1/2が被告の負担
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業務用乾燥機の低周波音被害について損害賠償が認められた事件 ・被告は原告に100万円、及び支払済みまで年5分の割合の金員を支払うこと
・訴訟費用は1/6が被告の負担
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マンホールによる騒音に対する損害賠償請求が棄却された事件 ・原告らの請求をいずれも棄却
・訴訟費用は全て原告らの負担
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子ども文化センターの利用者の発する騒音の差止が却下された事件 ・債権者らの申立てをいずれも却下
・申立費用は債権者らの負担
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スポーツセンターの騒音について差止めと損害賠償請求が棄却された事件 ・原告らの請求をいずれも棄却
・訴訟費用は全て原告らの負担
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スーパーマーケットのコンプレッサーによる低周波騒音について損害賠償請求が認められた事件 ・被告は原告に50万円、及び支払済みまで年5分の割合の金員を支払うこと
・訴訟費用は1/3が被告の負担
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スーパーマーケットのコンプレッサーによる低周波騒音について損害賠償と防音施設の設置請求が認められた事件 ・被告は原告に約163万円、及び支払済みまで年5分の割合の金員を支払うこと
・被告は店舗二階に設置したコンプレッサーを一階に降ろすこと
・被告は店舗二階に設置したコンプレッサーの周囲に防音設備を設置すること
・被告は原告に対して防音設備の設置まで一日5000円の割合の金員を支払うこと
・訴訟費用は2/5が被告の負担
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購入した物件の遮音性能と防塵性能に不備があるとする損害賠償請求が認められなかった事件 ・原告の請求を棄却
・訴訟費用は全て原告の負担
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マンション建設による騒音被害で損害賠償が一部認められた事件 ・被告らは原告らに対して計209万円支払うこと
・被告らは訴訟費用の1/100を負担する事
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金属プレス工場の騒音被害で損害賠償請求が認められた事件 ・被告は原告に対して50万円、及び支払い済みまで年五分の割合を支払うこと
・被告は原告の訴訟費用の1/20を負担する事
・被告は補助参加人の訴訟費用の1/20を負担する事
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建物の建築内容に問題ないとして請負代金請求が認められた事件 ・被告は原告からの約194万円の支払いと引換えに、原告に対し約434万円を支払え
・被告は訴訟費用の99/100を負担する事
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道路建設の中止を求める地域住民らの控訴を棄却した事件 ・控訴人らの請求を原判決を含めて全て棄却
・訴訟費用は全て控訴人らの負担
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建物解体工事による騒音被害が認められ慰謝料が支払われた事件 ・被告らは原告らに各10万、合計180万円及び支払済みまで年5分の割合を支払うこと
・訴訟費用は約1/3が被告の負担
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土処分場の建設による振動により各権利が侵害されるとした訴えが棄却された事件 ・原告の訴えを却下
・訴訟費用は全て原告の負担
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建物解体工事による騒音被害で慰謝料、建物の補修費用等の支払いが認められた事件 ・被告は原告らに計約165万円、及び支払済みまで年5分の割合を支払うこと
・訴訟費用は1/5が被告の負担
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騒音に関する裁判所の判断

裁判所の判断は以下のような判断に基づいています。
・受忍限度を超える騒音は発生させてはならない。
・しかし騒音を全く発生させないことは不可能である。
・したがって対象の騒音の値や回避可能性、発生者の誠意などを総合的に判断して違法性を吟味する。
つまり、騒音値が条例や環境基準等で定められる値を超えており、かつ騒音発生源が誠意ある対応をしていない場合違法と認められることが多いようです(以下は裁判所の判断を一部抜粋したものです)。

人は,その居住場所において,静謐な環境の下,平穏な生活を営む人格的利益を有しており,この利益は排他的な性質を有するというべきであるから,他の者がその居住場所に到達させた騒音によって上記人格的利益を違法に侵害された場合には,他の者に対し,その侵害行為の差止めを求めることができるというべきである。

人が社会の中で生活を営む以上,他の者が発する騒音に晒されることは避けられないのであるから,その騒音の侵入が違法というためには,被害の性質,程度,加害行為の公益性の有無,態様,回避可能性等を総合的に判断し,社会生活上,一般に受忍すべき限度を超えているといえることが必要である。

被告は、特定工場等である被告高校の設置者として、規制基準の遵守を義務づけられているのであるから、本件騒音が規制基準を超えている場合は,特段の事情がない限り,受忍限度を超えているものと認めるのが相当である。

被告は,本件音が特に夜間及び深夜には原告住戸に及ばないように被告の長男をしつけるなど住まい方を工夫し,誠意のある対応を行うのが当然であり

被告は,床にマットを敷いたものの,その効果は明らかではなく,それ以外にどのような対策を採ったのかも明らかではなく,原告に対しては,これ以上静かにすることはできない,文句があるなら建物に言ってくれと乱暴な口調で突っぱねたり,原告の申し入れを取り合おうとしなかったのであり,その対応は極めて不誠実なものであった

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