高齢者施設老人ホームにおけるエアコン室外機からの低周波音レベルの計測と、G特性音圧レベル、オクターブバンド分析
1.報告概要
○○○○株式会社様のご依頼により、○○○○において低周波音レベル計による測定を行い、G特性音圧レベルの解析、各周波数帯における測定値の解析を行なった。
2.測定条件
測定日時
・エアコン稼動時
平成○○○○日12:40:42~○○○○日13:10:42
・エアコン停止時
平成○○○○日13:15:42~○○○○日13:45:42
測定場所
○○○○外部エアコン室外機真裏の浴室、室外機から約2mの位置
3.測定機器と設定
・低周波音レベル計NA-18A
・周波数重み特性:G特性
・分析周波数範囲:1/3オクターブ分析
・時間重み特性:SLOW
・サンプリングレート:1min
4.測定結果
測定期間中のG特性音圧レベルのグラフ、各測定位置におけるG特性音圧レベル平均値を示す。また、測定位置における1/3オクターブバンド分析による等価騒音レベル平均値と環境省による参照値との比較をグラフ、及び表にして表した。
尚、環境省によると、G特性音圧レベル平均値が92dB以上であれば、20Hz以下の超低周波による苦情の可能性が考えられるとされる。加えて、1/3オクターブ分析結果において、環境省による「低周波騒音による心身に係る苦情に関する参照値」と、「低周波騒音の物的苦情に係る参照値」との比較では、参照値を超える場合は低周波音による被害の可能性があるとされる。
4-1.エアコン稼動時におけるG特性音圧レベルの経時変化
(○○○○日12:40:42から○○○○日13:10:42)
図.G特性音圧レベル(dB)の経時変化
※ 縦軸:G特性音圧レベル(dB) 横軸:時間
・G特性音圧レベル平均値は69.6 dBであった。
・G特性音圧レベル平均値は92.0dBを超過していない。
・また、瞬間的にG特性音圧レベルが92.0dBを超過した期間も存在しない。
4-2.エアコン稼動時における1/3オクターブバンド分析
(心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)
(○○○○日12:40:42から○○○○日13:10:42)
図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※ 縦軸:dB 横軸:中心周波数(Hz)
※ 青:各周波数帯の測定結果(等価騒音レベル平均値)
赤:心身に係る苦情に関する参照値
表.心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の測定結果(等価騒音レベル)
・今回の測定により得られた測定結果は環境省による「低周波騒音による心身
に係る苦情に関する参照値」を全ての周波数において超過していない。
4-3.エアコン稼動時における1/3オクターブバンド分析
(物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)
(○○○○日12:40:42から○○○○日13:10:42)
図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※ 縦軸:dB 横軸:中心周波数
※ 青:各周波数帯の測定結果(等価騒音レベル平均値)
赤:物的苦情に係る参照値
表.物的苦情に係る参照値と各周波数帯の測定結果(等価騒音レベル)
・今回の測定により得られた測定結果は、環境省による「低周波騒音の物的
苦情に係る参照値」を全ての周波数において超過していない。
4-4.エアコン停止時におけるG特性音圧レベルの経時変化
(○○○○日13:15:42から○○○○日13:45:42)
図.G特性音圧レベル(dB)の経時変化
※ 縦軸:G特性音圧レベル(dB) 横軸:時間
・G特性音圧レベル平均値は69.4 dBであった。
・G特性音圧レベル平均値は92.0dBを超過していない。
・また、瞬間的にG特性音圧レベルが92.0dBを超過した期間も存在しない。
4-5.エアコン停止時における1/3オクターブバンド分析
(心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)
(○○○○日13:15:42から○○○○日13:45:42)
図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※ 縦軸:dB 横軸:中心周波数(Hz)
※ 青:各周波数帯の測定結果(等価騒音レベル平均値)
赤:心身に係る苦情に関する参照値
表.心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の測定結果(等価騒音レベル)
・今回の測定により得られた測定結果は環境省による「低周波騒音による心身に係る苦情に関する参照値」を全ての周波数において超過していない。
4-6.エアコン停止時における1/3オクターブバンド分析
(物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)
(○○○○日13:15:42から○○○○日13:45:42)
図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※ 縦軸:dB 横軸:中心周波数
※ 青:各周波数帯の測定結果(等価騒音レベル平均値)
赤:物的苦情に係る参照値
表.物的苦情に係る参照値と各周波数帯の測定結果(等価騒音レベル)
・今回の測定により得られた測定結果は、環境省による「低周波騒音の物的苦情に係る参照値」を全ての周波数において超過していない。
5.結論
結果に記載したG特性音圧レベルのグラフ、及び平均値では、エアコンの稼動中、停止時を問わず測定期間における平均値は92dBを超過していない。且つ、一時的に92dBを超過した期間も存在しない。このためG特性音圧レベルの観点からは、振動による騒音、及び低周波騒音が発生している可能性は無いと考えられる。
また、全ての結果において、エアコンの稼動中、停止時を問わず1/3オクターブバンド分析による測定結果でも「低周波騒音の物的苦情に係る参照値」及び「低周波騒音による心身に係る苦情に関する参照値」を全ての周波数帯で超過していない。従って1/3オクターブバンド分析の観点からも、振動による騒音、及び低周波騒音が発生している可能性は無いと考えられる。
尚、上記測定は、外部エアコン室外機と壁(正確には窓ガラス1枚分)を隔てて約2mの位置と、非常に近い距離で行われたことを鑑みても、エアコン室外機が外部に被害を及ぼす低周波音を発生させている可能性は極端に低く、エアコンの稼動、停止による振動及び低周波音の被害は、ほぼ皆無といえる。
6.参照値の根拠
6-1.参照値
環境省発表の「低周波騒音による心身に係る苦情に関する参照値」
「低周波音の物的苦情に関する参照値」より
6-2.判例
東京地裁 平成6.5.9 判例時報1527号116 .
東京地裁 昭和 63.4.25 判例時報 1274号-49.
甲府地裁都留支部昭和63・2・26(判例時報1285号119)
京都地裁平成4・11・27(判例時報1466号126~)
福岡高裁那覇支部平成22・7・29(判例時報2091号162)