低周波音レベル計による低周波音の測定と、心身及び物的苦情に係る参照値との比較分析
1.報告概要
○○○○様のご依頼により、低周波音レベル計による測定が行われ、測定が行われた全時間帯のG特性音圧レベルの解析、各周波数帯における測定値の解析を行なった。
2.測定条件
測定日時
平成○○○○日8:00:44:10~8:00:49:60
3.測定機器と設定
・低周波音レベル計NA-18A
・周波数重み特性:G特性
・分析周波数範囲:1/3オクターブ分析
・時間重み特性:SLOW
・サンプリングレート:0.1sec
4.測定結果
測定期間中のG特性音圧レベルのグラフ、測定場所におけるG特性音圧レベル平均値を示す。また、測定場所における1/3オクターブバンド分析による等価騒音レベルと環境省による参照値との比較をグラフ、及び表にして表した。
尚、環境省によると、G特性音圧レベル平均値が92dB以上であれば、20Hz以下の超低周波による苦情の可能性が考えられるとされる。加えて、1/3オクターブ分析結果において、環境省による「低周波騒音による心身に係る苦情に関する参照値」と、「低周波騒音の物的苦情に係る参照値」との比較では、参照値を超える場合は低周波音による被害の可能性があるとされる。
4-1.全期間中のG特性音圧レベルの経時変化
(○○○○日8:00:44:10~8:00:49:60)
図.G特性音圧レベル(dB)の経時変化
※縦軸:G特性音圧レベル(dB) 横軸:時間
・G特性音圧レベル平均値は58.4 dBであった。
・G特性音圧レベル平均値は92.0 dBを超過していない。
・また、瞬間的にG特性音圧レベルが92.0 dBを超過した期間も存在しない。
4-2.全期間中の1/3オクターブバンド分析結果
(心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)
(○○○○日8:00:44:10~8:00:49:60)
図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※ 縦軸:dB 横軸:中心周波数(Hz)
※ 青:各周波数帯の測定結果(全期間中の等価騒音レベル)
赤:心身に係る苦情に関する参照値
表.心身に係る苦情に関する参照値と各周波数帯の測定結果(等価騒音レベル)
・今回の測定により得られた測定結果は環境省による「低周波騒音による心身
に係る苦情に関する参照値」を全ての周波数において超過していない。
4-3.全期間中の1/3オクターブバンド分析結果
(物的苦情に係る参照値と各周波数帯の等価騒音レベルの比較)
(○○○○日8:00:44:10~8:00:49:60)
図.各周波数帯における等価騒音レベル(dB)
※ 縦軸:dB 横軸:中心周波数
※ 青:各周波数帯の測定結果(全期間中の等価騒音レベル)
赤:物的苦情に係る参照値
表.物的苦情に係る参照値と各周波数帯の測定結果(等価騒音レベル)
・今回の測定により得られた測定結果は、環境省による「低周波騒音の物的苦情に係る参照値」を全ての周波数において超過していない。
図.結果4-1グラフ拡大図
図.結果4-2グラフ拡大図
図.結果4-3グラフ拡大図
5.結論
結果に記載したG特性音圧レベルのグラフ、及び平均値では、測定期間における平均値は92dBを超過していない。また、一時的に92dBを超過した期間も存在しない。このため、G特性音圧レベルの観点から、一般的に有害と考えられる低周波音、つまり低周波騒音の発生は確認できない。
また、1/3オクターブバンド分析による測定結果では「低周波騒音の心身に係る苦情に関する参照値」及び「低周波騒音の物的苦情に係る参照値」を全ての周波数帯で超過していない。このため、1/3オクターブバンド分析の観点から、心身及び物的に被害を与えうると考えられる低周波音、つまり低周波騒音の発生は確認できない。
以上より、今回の測定結果からは、測定が行われた期間、測定場所において低周波音が発生していた可能性は極端に低かったことが示唆される。
6.参照値の根拠
6-1.参照値
環境省発表の「低周波騒音による心身に係る苦情に関する参照値」
「低周波音の物的苦情に関する参照値」より
6-2.判例
東京地裁 平成6.5.9 判例時報1527号116 .
東京地裁 昭和 63.4.25 判例時報 1274号-49.
甲府地裁都留支部昭和63・2・26(判例時報1285号119)
京都地裁平成4・11・27(判例時報1466号126~)
福岡高裁那覇支部平成22・7・29(判例時報2091号162)