騒音計アプリの精度を専門家が検証|おすすめアプリとスマホ騒音計の限界・正しい使い方

この記事でわかること

・スマホの騒音計アプリと専門騒音計の精度はどれくらい違うのか
・10種類のアプリを実測比較したランキング結果(最も精度が高いアプリは?)
・アプリで測定した数値は「騒音の証拠」として使えるのか
・アプリを正しく・上手に活用する方法
・専門家への調査依頼を検討すべき4つのケース

騒音計アプリを検証した理由

当社では日々騒音に関する課題や相談、お問い合わせをいただいていますが、近年次のようなお問い合わせを頂く機会が増えました。

「騒音測定アプリって使えますか?」
「アプリで測定したけどこのデータは信頼できますか?」
「どのアプリが一番精度が良いと思いますか?」

このような質問には、いつも「実際に使用したことがないのでわかりませんが、校正された測定器ではないので、信頼性という意味では低いのではないでしょうか」と、何とも歯切れの悪い回答をしていました。騒音のプロとしてこれではいけないと思い立ち、このたび検証をしてみることにしました。

どのように検証したか(検証方法)

用意したもの

①騒音計 NL-22(リオン社製)

②騒音計アプリ 10種類(いずれもAndroid版。「騒音」で検索して上位に表示されたものを選択)

検証の方法

周波数が変化する音源を対象に、「暗騒音(音が出ていない状態)」および、低周波域(100 Hz程度)・中周波域(1,000 Hz程度)・高周波域(5,000 Hz程度)において、騒音計(NL-22)と各アプリで音圧を同時測定しました。(各周波数帯の設定値は厳密なものではありません。この実験のポイントは「同条件でアプリと騒音計で結果にどの程度差が出るのか」にあるため厳密すぎる必要がないためです。)それぞれの測定値の差を算出することで、アプリの精度を検証しています。

※周波数:音の高さを表す単位です(この値が大きい程高い音、小さい程低い音)。

検証結果(騒音測定アプリ精度ランキング)

評価の結果を精度の高いランキング順に下記表にまとめました。今回の検証実験ではデシベルメーター騒音計/AGI Applicationsというアプリがもっとも精度の高いアプリであることがわかりました。

rank

アプリ名

会社名

測定値の差(RION測定値-アプリ測定値) (db)

暗騒音

低周波域

中周波域

高周波域

絶対値の平均値

1 デシベルメーター騒音計 AGI Applications

4.0

-5.6

-3.4

14.9

7.0

2 騒音チェッカー 株式会社よつば鑑定

-10.8

-12.5

-4.9

8.9

9.3

3 Sound Meter PRO Mobile Essentials

5.1

-2.8

13.5

17.8

9.8

4 騒音測定器 : Sound Meter Simple Grace Jo

8.7

-0.9

16.3

21.3

11.8

5 騒音測定器 : Sound Meter Simple Grace Jo

6.2

7.4

16.1

18.6

12.1

6 サウンドメーター NETIGEN Utilities

3.4

6.1

24.6

19.1

13.3

7 騒音測定器 : Sound Meter Smart Tools co.

-4.4

1.9

21.0

29.5

14.2

8 デシベル計 [騒音メーター/測定] TACOTY APP

-2.1

2.4

22.6

32.7

15.0

9 騒音測定器 Abc Apps

12.0

4.3

14.6

44.5

18.9

10 サウンドメーター KHTSXR

12.8

7.1

16.4

46.9

20.8

検証実験をしてわかったこと

①もっとも精度の高いアプリでも誤差(絶対値の平均値)は7.0dbと、大きい
計量法において騒音計の器差は±1.5dbとされているので、これに比べると非常に大きな誤差です。また、周波数が大きくなる(高い音である)と誤差が大きくなる傾向も確認されました。

②騒音計アプリは、おおむね実際より小さい音圧を表示する
つまりアプリが示す数値は実際の騒音より静かに測定されやすく、騒音被害を受けている側にとっては不利な結果になりがちです。

③スマホのマイクは指向性が高い
スマホのマイクは、通話品質を高めるために声以外の雑音を拾いにくい構造(指向性が高い構造)になっています。そのためスマホの向きや設置方向によって測定値が変わりやすく、音源の位置や方向によっては正確に測定できないことがあります。

④重みづけ特性の設定や確認ができない
これは少し専門的な話になりますが、生活騒音を正しく測定するには、測定器に「A特性(人間の聴覚に近い感度に補正する設定)」と「Fast特性(瞬間的な音の変化に追従できる設定)」を適用する必要があります。専門の騒音計ではこれらを設定・確認できますが、スマホアプリではこの設定を行うことも確認することもできません。つまりアプリの測定値が、生活騒音の評価に適した条件で計測されているかどうかを確かめる手段がないのです。

まとめ:アプリでは正確な騒音の数値は確認できない

最も精度の高いアプリでも非常に大きい測定誤差があるため、騒音計アプリでは正確な音圧(騒音)を測定できると言えない結果となりました。つまり、アプリの測定結果から「騒音の基準値や規制値を超えているか否か」を判断するのは困難です。現状では、スマホの騒音計アプリはあくまでも相対的な騒音の大きさ(音が大きくなったとか、小さくなった等)を簡易的に把握するためのツールとして使うのであれば問題なさそう、というのが当社の見解です。また、スマホアプリでの測定は実際の値より小さく表示されるケースが多いため、アプリで音圧レベルが低く出たとしても(特に高周波域の場合)、必ずしも基準値や規制値を下回っているとは言えないことに注意が必要です。

よくある誤解・失敗事例①

「アプリで50 dBしか出なかったから問題ない」は危険な判断です

当社へのご相談の中には「アプリで測ったら静かな数値だったので様子を見ていたが、その後も眠れない夜が続いた」というケースが多々あります。今回の検証でも確認されたとおり、スマホアプリは実際より小さい数値を表示する傾向があります。「アプリで小さく出た=騒音は発生していない」とは言い切れないことを、ぜひ念頭においてください。

騒音計アプリの有効な活用法

精度に限界があるとはいえ、騒音計アプリが「まったく役に立たない」わけではありません。使い方次第で次のような場面に役立てることができます。

・管理会社や大家への相談前の記録用として
いつ・どこで・おおよそ何 dB程度の音が繰り返し発生しているかを時系列で記録しておくと、口頭での説明よりも状況を的確に伝えられます。例えば「平日深夜23時ごろ、寝室で約60 dBの音が断続的に記録される」といったデータは、第三者への説明資料になります。

・騒音の発生パターンの把握に
特定の時間帯や曜日に騒音が集中しているかを確認するのに役立ちます。パターンが明確になると、専門家に相談する際の情報整理にもなります。

・防音対策の効果確認に
防音カーテンや防音マットを設置した前後でアプリの数値を比較することで、対策の効果をある程度把握する目安として使えます。

・不動産管理会社による初動確認に
入居者から騒音クレームを受けた際に、現場の状況を簡易的に把握する第一歩として活用できます。ただし対応の根拠となる証拠は、専門業者の測定に委ねることが必要です。

よくある誤解・失敗事例②

管理会社に「アプリのデータ」を持参しても動いてもらえなかった

「アプリの測定画面のスクリーンショットを印刷して管理会社に持参したが、『参考にします』と言われただけで何も変わらなかった」というご相談をよくいただきます。管理会社が実際に対応を進めるには、第三者機関による客観的な測定データが必要なケースがほとんどです。アプリのデータは「状況を伝えるための補助資料」として活用しつつ、具体的な解決を求める段階では専門家への依頼を検討することをおすすめします。

スマホの測定結果は「証拠」になる?

ご自身で騒音の状況を記録していく中で、「この問題を本格的に解決したい」と考えるようになるかもしれません。その時、多くの方が疑問に思うのが「スマホアプリの測定結果は、証拠になるのか?」という点です。

結論:スマホアプリの測定データだけでは、法的・実務的な証拠としての採用は極めて困難です。

理由は、スマホのマイク性能とアプリの精度では「信頼性」と「正確性」を担保できず、対応を求める際の証拠としての価値が低くなりがちだからです。例えば管理会社にアプリのデータをもとに騒音の状況を説明した場合、「状況は把握しました」という返答にとどまり、「具体的な対応には、より確かな証拠が必要です」と言われてしまうケースが実際に多く発生しています。下表にスマホアプリと専門騒音計の違いをまとめています。

比較項目 スマホ騒音計アプリ 専門騒音計
測定精度 誤差が大きい(最良でも±7 dB 程度) 高精度(器差±1.5 dB 以内)
法的根拠としての有効性 低い(証拠採用は困難) 高い(報告書として有効)
重みづけ特性の設定 設定・確認できない A特性・Fast特性を正確に設定可能
校正(キャリブレーション) なし 定期校正済み
費用 無料〜数百円 調査費用が別途必要
主な用途 騒音の傾向把握・記録 正確な音圧測定・証拠収集

専門家への相談を検討すべき4つのケース

では、どのような場合に専門家による正確な測定結果が必要になるのでしょうか。主に以下の4つのケースが挙げられます。

①管理会社や大家に、具体的な数値で改善を求めたい場合
「うるさい」と感情的に訴えるだけでは、管理会社も対応を判断しにくい状況になります。信頼性の高い騒音計で測定したデータと専門家が作成した報告書があれば、「○○ dBを測定しており、一般的な騒音の基準値を超えている」という具体的な根拠をもって改善を要請できます。管理会社側にとっても、客観的な数値があることで対応の判断がしやすくなります。

②隣人トラブルなど、弁護士への相談や法的手続きを検討している場合
調停や訴訟を視野に入れている場合、証拠の質が結果を大きく左右します。専門の調査会社が作成した騒音測定報告書は、法的手続きにおいてあなたの主張を裏付ける客観的な証拠となり得ます。弁護士からも「まず騒音を数値で証明できる資料を準備してほしい」と求められるケースは少なくありません。

③心身に不調が続いており、原因が騒音にあるか確認したい場合
「眠れない」「頭痛が続く」といった体調不良の原因が騒音にあるかどうかを確認したい場合、専門家による調査で音圧レベルや低周波音の有無を客観的に把握することが、原因の究明と対策の第一歩となります。

関連コンテンツ:低周波音レベルの測定と、周波数帯分析による、心身に係る苦情に関する参照値、低周波音の物的苦情に関する参照値との比較:

④会社・営業所・工場内の騒音が基準値内かどうかを確認したい場合
事業所内の騒音が社員の健康や作業効率に影響していると感じる場合や、行政機関への騒音測定データの提出が必要な場合にも、騒音計を用いた専門的な測定調査が必要です。

問題解決に向けて、まずは専門家へ無料相談を

日本騒音調査では、個人様・法人様問わず、正式な依頼の前に無料相談を受け付けています。騒音問題でお悩みの際はお気軽にご相談ください。>>お問い合わせはこちらから

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