ライブハウスの騒音が不法行為として認められた事件

判決

・被告は原告に対して計228万円支払うこと
・被告は訴訟費用の1/2を負担する事

事実

・原告は東京都港区六本木のビルでレストランを経営していた。
・被告はレストランの下の階にライブハウスを経営していた。

騒音調査の結果

騒音計で騒音値を測定したところライブハウス営業時間に60~70ホンを超える騒音が発生していることが分かった。
※ホン:A特性におけるデシベル(dB)と同一視されていた。過去に使われていた騒音レベルの単位。1000ヘルツの純音のホンは、その音圧レベルを表すデシベルに等しい。

原告の主張

・ライブハウス店舗内演奏ステージの真上に当たる8席を使用不可能にさせ、営業活動を不法に侵害した。
・店舗内で騒音を測定したところ、60ホンから70ホンを超える騒音まであった。
・被告は、その騒音の範囲を公害対策基本法九条及び東京都公害防止条例の定める基準値以下(55ホン以下)とする義務があるはずだ。
・22ヶ月にわたり月額五六万円の損害を被ったため、金1232万円の支払いを求める。

被告の主張

・東京都公害防止条例の定める基準値以下(55ホン以下)とする義務があることは認めるが、営業を妨害したとは考えない。
・バンド演奏を行わせたが、1日を通して演奏させていないし、レストランに損害があったことは認めない。
・当時最高の防音材による騒音対策を行い、騒音の測定も行ったが、53ホンであり基準値内に収まる数字であった。
・ロックバンドに音量を下げて演奏させたくないし、音量は調整不可能だ。
・損害賠償については争う姿勢である。

裁判所の判断

・昭和57年から昭和62年までは営業時間が1時間重なる程度であり、ライブハウスのステージも上階に振動が伝わりにくい位置であったため、問題はなかった。
・ライブハウスが客席を増やすため、昭和62年にステージの位置を移動したことが上階に被害をもたらした原因であるし、レストランが客に席を使わせることができなくなったことも認められる。
・東京都公害防止条例による基準値は当該地域において55ホンであり、ライブハウスでの測定の際に平均が53ホンであったことは認められる。
・ただし、ライブハウスでの測定は、測定を行うことを予め知らされた上での結果であり、演奏の音量通常より低くなるよう操作された可能性がないとはいえない。
・過去に音量を下げて演奏させたとの証言もあり、音量の調整が不可能とは認められない。
・過去の売上金額の比較により、レストランに損害を与えていたことは事実であることを認めるが、景気や消費者物価の影響も考えられるため、損害賠償金額は、原告の主張の5分の1である228万円とするのが相当である。

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