建物解体工事による騒音被害で慰謝料、建物の補修費用等の支払いが認められた事件

判決

・被告は原告らに計約165万円、及び支払済みまで年5分の割合を支払うこと
・訴訟費用は1/5が被告の負担

事実

・原告は被告が請け負っていた工事現場付近の居住者ら
・被告は建築土木等建設工事の請負を目的とする株式会社

騒音調査の結果

本件工事現場の境界線で測定された騒音は最大値100dBが記録され、振動は最大値90dBを超えていた。

原告らの主張

・本件工事は周辺の住環境に適切な工法をとっていない。
・本件工事による騒音は最大値で100dBを記録している日もあった。
・上記は基準値を超える日が測定日のかなりの割合を占めている。
・本件工事による振動は最大値で90dBを超えていた。
・恒常的に基準値を超える騒音、振動が発生していることは明らかである。
・原告の一人は上記振動により動悸がひどくなり医師から虚血性心疾患との診断を受けた。
・被告の説明不十分により原告らは対処の方法が分からず、体調を崩す者も出た。
・原告らの住居には振動による様々な損傷もある。
・本件解体工事による騒音及び振動は原告らが受忍すべき限度を超える。
・精神的苦痛に対する慰謝料の支払い、原告ら住居の修補費用の支払いを求める。
・被告らは原告らに計約641万円、及び支払済みまで年5分の割合を支払え。

被告の主張

・被告は騒音及び振動の軽減措置を講じ、近隣住民に配慮して本件解体工事を行っていた
・条例は特定建設作業を改善勧告等の対象から除外していて条例による規制は及ばない。
・条例上の指定建設作業については日常生活等に適用される規制基準とは別異となる。
・本件工事の騒音、振動が原告らの主張する基準値を超えたとして違法ではない。
・指定建設作業の基準値を超える騒音及び振動を恒常的に発生させてもいない。
・条例上の基準値を超えた騒音は2度だけにすぎない。
・突発的な振動の発生があったにすぎない。
・原告の一人は本件解体工事以前から既往症がある。
・原告の症状と本件工事との因果関係は認められない。
・建物の損傷は本件工事の振動との因果関係が認められない。
・本件工事の騒音は原告らが受忍すべき限度を超えるものではない。

裁判所の判断

・本件測定結果から、数時間は大きな騒音及び振動が発生したことは認められる。
・本件工事現場、及び原告ら住居付近には国道がある。
・原告ら各住居付近では恒常的に工事と同程度の騒音及び振動が発生しているといえる。
・本件工事の騒音及び振動の全てが原告らの受忍限度を超えるということはできない。
・各住居に相当程度在宅していた原告らについては受忍限度を超えるといえる。
・本件解体工事の騒音及び振動の程度と原告の症状が対応しているとはいえない。
・本件解体工事により原告ら住居建物に損傷が認められる。
・原告ら住居建物の修補費用は認められる。
・被告は騒音及び振動の軽減措置を講じており、その交渉態度等には問題がなかった。
・被告は原告らに計約165万円、及び支払済みまで年5分の割合を支払え。
・被告らに対するその余の請求はいずれも理由がないのでこれらを棄却する。

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