スーパーマーケットのコンプレッサーによる低周波騒音について損害賠償請求が認められた事件
判決
・被告は原告に50万円、及び支払済みまで年5分の割合の金員を支払うこと
・訴訟費用は1/3が被告の負担
事実
・原告は被告店舗近隣の住民夫婦の妻。
・被告はスーパーマーケットの経営者。
※以前裁判が行われている事件の5年後に再度行われた裁判。
※以前の訴訟と異なり、妻が訴訟を起こしている。→「スーパーマーケットのコンプレッサーによる低周波騒音について損害賠償と防音施設の設置請求が認められた事件」参照
騒音調査の結果
音圧レベルは100Hzで60dB、また振動レベルは50Hzで62dBであった。
また、A特性騒音レベルでは33ホンであった。
※「スーパーマーケットのコンプレッサーによる低周波騒音について損害賠償と防音施設の設置請求が認められた事件」においては被告による防音設備の設置前の音圧レベルは63Hzで59dB、また振動レベルは50Hzで62dBであった。
また、防音設備の設置後の音圧レベルは63Hzで56dB、振動レベルは50Hzで55dBであり、A特性騒音レベルでは34ホンであった。
※ホン:A特性騒音レベルの測定において当時使われていた単位。1000Hzの純音に対してdBの値と等しい。
原告の主張
・被告店舗が発する震動や騒音が増加し平穏な家庭生活を侵害した。
・旅館に宿泊し、睡眠をとり健康を回復しなければならなかった。
・以前の裁判後、被告は防音設備を設置したが、その効果はない。
・以前の裁判後、夫とは和解しているとはいえ、請求を拒み得る理由にはならない。
・被告店舗の様々な設備による低周波音は、以前の裁判前と同様に受忍限度を超える。
・不法行為による損害賠償請求権から金200万円及び支払済みまでの遅延損害金の支払いを求める。
被告の主張
・原告の被害については不知である。
・旅館に宿泊したことは不知である。
・原告の損害については否認する。
・以前の裁判後、原告夫とは和解しているため、その効力を受けるはずである。
・店舗の設備による低周波音が受忍限度を超えることは否認する。
・損害賠償については争う。
裁判所の判断
・被告店舗の様々な設備は原告らの朝方の睡眠を妨害する可能性が大きい。
・低周波音によって原告が睡眠不足になることは十分予想される。
・原告には不眠からくる胃痛、胃腸の不調等が発生する可能性がある。
・振動は、原告に明らかに不快感をもたらすという程のものではない。
・原告における被告店舗の建設による被害の不知は原告の経歴から当然である。
・原告にコンプレッサーによる被害を受忍せよということにはならない。
・被告は原告に金50万円及び支払済まで年五分の割合による金員を支払うべきである。
・原告のその余の請求を棄却する。