マンション建設の騒音被害タクシー運転手への慰謝料が認められた事件

判決

・被告らは原告らに対して計35万円支払うこと
・被告らは訴訟費用の1/15を負担する事

事実

・原告は深夜タクシーの運転手。
・被告は原告の隣地にマンション建設工事を行っていた会社。
・暗騒音は50dB程度。

騒音調査の結果

騒音計による測定により、工事中、原告の住むアパートの廊下で60~90数dB以上の騒音が発生していることがわかった。

原告の主張

・騒音により十分な睡眠が得られず、営業不可日が増えた。
・日照権も侵害されている。
・公道に出にくくなり、防災上も不利益を被っている。
・本件のマンションは私益を追求しているが、こちらはタクシー運転手として真面目に働いており公益性が高いと考える。
・代替住居を提供されたが、騒音が激しい部屋で不便でもあった。
・防音シートを設置してもらったが効果は感じられなかった。
・以上から損害賠償及び慰謝料として計5,384,550円、及び年五分の割合による支払いを求める。

被告の主張

・騒音を発生させるような工事は、本来は午前8時から午後6時30分まで可能であるが、あえて午前9時から午後5時までに行っていた。
・近隣で深夜就業者が生活していても、建設工事の作業時間変更の理由にはならないはずである。
・法令による規制を受ける作業は行なっていない。
・特定建設作業実施届出書を届け出た上で作業を行っている。
・公害防止条例では本件の住居地域について45~50dBの騒音を発生させることを禁止しているが、現実的とは考えられないので、暗騒音レベルもしくは努力目標を定めたものと考えるべきである。
・工事現場は幹線道路の至近距離にあり、本件工事が行われていなくても日中50dB以上の暗騒音が発生している。
・日影規制基準も満たしている。
・原告の代替住居に用意した部屋は、騒音が比較的少ない。

裁判所の判断

・工事が80dB、また90dBを超える騒音を発生させたことは認められる。
・公害防止条例で午前8時から午後5時まで50dBを超える騒音の発生を禁じているため、睡眠妨害を受けていたと認めるのが相当である。
・原告の睡眠が妨害されるのは、深夜業への従事を選択したためであり、被害の発生は原告側の事情による部分がある。
・日照状況にはそれほど差異はないといえる。
・原告が公道に出にくくなった事実は認められるが、その利益を保護する理由はない。
・被告が原告に用意した代替住居が適当なもの、または不適当なものであったという明確な証拠はいずれもなく、原告が移転を断った合理的な理由はない。
・被告は本件工事の騒音を認識していたにも関わらず、苦情を言われるまで放置していた。
・上記、タクシー営業に多少の影響が出ていたこと、原告には落度がないことから慰謝料、及び弁護士費用の一部として計35万円の支払いが妥当である。

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