マンション建設による騒音被害で損害賠償が一部認められた事件

判決

・被告らは原告らに対して計209万円支払うこと
・被告らは訴訟費用の1/100を負担する事

事実

・原告は本件マンションに隣接または近接する住居の居住者ら
・被告は原告ら住居の隣地にマンション建設工事を行っていた企業ら

騒音調査の結果

85dB以上の騒音が合計160日以上発生していた。
75dB以上の振動が合計19日間発生していた。

原告の主張

・原告ら周辺住民は話し合いをして地域の建物を10m以下の高さに押さえていた。
・マンションの建設により原告らの景観権が不当に侵害されている。
・本件工事によって騒音、振動の被害を受け、それらは原告らの受忍限度を超える。
・騒音、振動の被害日数の合計は179日である。
・圧迫感、プライバシー侵害、日照侵害を受けている。
・本件工事により家屋被害、地盤沈下が生じている。
・本件マンション建築は無許可の開発行為であり法律に違反している。
・本件マンション建築は建ぺい率で条例に違反している。
・マンション周囲の地盤に対して地盤強化のための適切な処置を行え。
・地表排水溝及び雨水枡、またマンホールを適宜設置せよ。
・原告らが指定するマンションの一部を除去せよ。
・原告らは各々192万5000円の更生債権を有する。
・原告らは指定するマンションの一部を除却する日まで1か月あたり5万5千円の更生債権を有する。

被告の主張

・地域の建物を10m以下の高さに押さえる地域ルールは、証拠もなく、認められない。
・原告らの住居は良好な景観に近接するのみであり、良好な景観そのものが存在しない。
・景観利益を超えて景観権という権利性を有するものを認めることはできない。
・防音カバーをかけ、騒音に配慮を行なった。
・本件土地の地盤は硬質な岩盤であり、振動が生じることはなかった。
・騒音規制法の規制の程度を超える騒音を発生させたのは11日だけである。
・原告らが何らかの圧迫感を受けたとしても、受忍限度を超えているとはいえない。
・覗き込むことがない限り原告ら宅の様子は見えず、プライバシー侵害は生じない。
・日照に関する基準を満たした上で建設されており、完全に適法なものである。
・原告ら家屋内部等に大きな変化はなく、家屋被害が生じたということはない。
・地盤沈下が生じているというのは原告ら家屋のひずみによるものである。
・本件マンション建築は開発行為ではないため法律に違反していない。
・建ぺい率は違法ではないため、条例に違反していない。
・原告らのその他の主張については争う。

裁判所の判断

・原告らは景観について景観利益を有するというべきである。
・マンション外観に周囲の景観の調和を乱す点があるとは認められない。
・工事で騒音が発生することはやむを得ず、近隣住民も相当程度受任すべきともいえる。
・原告ら宅と本件マンションの距離、原告らの供述内容から、本件工事の騒音は原告らの受忍限度を超える違法な騒音であったといえる。
・振動が規制を超えた日はわずかで、原告らの受忍限度を超えると認めることはできない。
・原告らの圧迫感は明確な権利といい難く、受忍限度を超えるとまでは認められない。
・プライバシー侵害が受忍限度を超えているとまでは認められない。
・日照が受忍限度を超えて侵害されたとはいえない。
・マンション建設地は軟弱な地盤であるとはいえず、施工方法の過失も認められない。
・地盤、ひび割れ等の調査結果は正確な変動値を認定することはできない。
・マンションの建設に法律違反があったとはいえない。
・条例に反して建ぺい率違反があるとまではいえない。
・原告ら家屋における被害は事前調査と事後調査を比べても有意な差は認められない。
・被告らは防音シートを十分にするなど適切な措置をとっていない。
・被告らは受忍すべき限度を超える騒音を発生させたといえる。
・被告らの発生させた騒音は騒音規制法に定める基準を超えている日も数日あった。
・被告らが適切な指示を怠ったため受忍限度を超える騒音を発生させたものといえる。
・被告らは共同して不法行為責任を負う。
・原告らには計209万円及び支払済みまで年5分の割合を損害と認める。
・原告らのその余の主張には理由がないため、これらを棄却する。

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