マンション工事の騒音について業者の不法行為が認められた事件

判決

・被告らは原告らに対して計451,000円支払うこと
・被告らは訴訟費用の1/10を負担する事

事実

・原告らは東京都大田区のマンションに住んでいた。
・被告らは原告らの上階の改装工事を行っていた建築士及び建築業者。
・暗騒音は50dBであった。

騒音調査の結果

騒音計による測定で、工事によって54~78dBの騒音が発生していることが分かった。

原告の主張

・上階の改装工事による騒音、振動は受忍限度を超えていた為、不法行為といえる。
・何度も抗議をして覚書も書いてもらったが、覚書の通りに工事していなかった。
・工事による振動で給湯管も破裂したし、ベランダに水漏れも生じた。
・吐き気や頭痛に悩まされ、病院による検査でも大半の家族が病気の診断を受けた。
・自宅にいることができなくなり、ホテル等の宿泊施設に幾度も避難した。
・損害賠償として計4,654,175円、及び遅延損害金として年五分の割合による金員の支払いを求める。

被告の主張

・工事を行なった地域は幹線道路に面しているため、昼間の騒音レベルの平均は約77dBであるし、この地域の他の人々は平穏に生活している。
・工事時の測定値の平均は67dBであったため受忍限度内として許容されるべきだ。
・工事は覚書の通りに進めていた。
・給湯管の破裂は、工事が原因ではなく管自体が老化し腐食したためである。
・宿泊施設への予約は工事前に行われていたり、工事の時間外に宿泊していたりしたため、工事との因果関係はないはずである。
・原告の強い要望により作業の人員を1人と限定されたため、工期も大幅に遅れた。
・損害賠償の請求は認められない。

裁判所の判断

・ベランダに水漏れが生じたと認めるに足る証拠はない。
・給湯管の破裂は工事の振動との因果関係があるといえるが、その全てが工事によるものとはいえない。
・原告らが作成した、工事予定の無い日の騒音と振動の記録は、工事が行われた日の騒音と振動に比べて値が低い印象を受けるが、工事予定の無い日に工事が行われたとの認定を動かすものではない。
・暗騒音は、窓を閉めた状態で50dB、窓を開けた状態で64dBと認められる。
・再現実験における工事の騒音は、窓を閉めた状態で最低54dB、最高78dBである。
・再現実験における工事の騒音は、窓を開けた状態で最低60dB、最高79dBである。
・再現実験における騒音は長時間継続するものではなく、断続的に続くものと認められる。
・工事における作業内容の詳細は不明であるため、騒音発生の総時間が長かったことを認める証拠はない。
・損害賠償として、被告らは原告らに対して計451,000円支払うこと、被告らは訴訟費用の1/10を負担する事が妥当であり、その余は棄却すべきである。

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