スポーツセンターの騒音について差止めと損害賠償請求が棄却された事件

判決

・原告らの請求をいずれも棄却
・訴訟費用は全て原告らの負担

事実

・原告はスポーツセンター近隣に住む居住者ら
・被告はスポーツセンターの管理運営者
※原告らは弁論準備手続期日に請求を拡張した(慰謝料額の増額)。
請求した慰謝料額は計600万円から計813万1千円

騒音調査の結果

・原告らの調査
一時間毎の等価騒音レベルで、ほぼ常時、環境基準の55dBを超過し、63.2dBを超過する時間帯もあった。また、等価騒音レベルの16時間平均値は57~58dBであり、一時間毎の90%レンジ上端値はほとんどの時間で規制基準を超過していた。
※原告がハンディタイプの騒音測定器で自ら測定した結果も提出しているが記載はない。
・被告の調査
本件施設使用時における隣家室内での等価騒音レベルは住人不在時で38~40dB、在室時は45~47dBであった。

原告らの主張

・被告は営利目的で本件施設を運営していて、公益性、公共性は認められない。
・施設はほぼ連日、午前8時から午後10時まで断続的かつ不規則に使用させている。
・施設のフットサル場としての使用時には、一般的に人が不快に感じるとされる高い音、衝撃的な音、突発的に発生する音が発生している。
・防音壁も設置しないなど、騒音についての配慮を行っていない。
・被告と話し合い、被告が防音工事の見積りを出したがこれを実施しなかった。
・損害賠償請求調停においても誠意ある対応をしなかった。
・本件騒音により精神的苦痛を受けている。
・原告の中には不安障害を発症している者もいる。
・原告の中には白血球の異常増加、重度の不眠症を発症している者もいる。
・原告らの静かな環境で居住する権利は保護されるべきである。
・環境基準を超過する騒音は受忍限度を超えるものと解すべきである。
・損害賠償として計813万1千円及び支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
・スポーツセンターから発生する音量が55dBを超えないように防音措置をせよ。

被告の主張

・施設は、日系ブラジル人の子供に教育やレクリエーションを供するため建てられた。
・フットサル場としての利用は運営費を獲得するためのものである。
・施設を私益のために管理運営しているわけではなく、公益性、公共性が高い。
・騒音を低減するため、相当額の費用を負担して塩化ビニール製外壁を取付けた。
・壁面への防音ネットの取付け、床と壁との間へのスポンジの取付け等を実施した。
・大きな大会を取りやめ、使用終了時刻も10分繰り上げた。
・特に大会の取りやめは本件施設の重要な目的の一つを失わせるものであった。
・本件訴訟において費用の一部を負担した上で二重窓を設置することなど提案をした。
・環境基準はあくまで基準であり目標値である。
・本件騒音が環境基準を超過したとして、直ちに受忍限度を超えると解すべきではない。
・等価騒音レベルは環境基準をわずかに上回るにすぎない。
・原告のその他の主張に対しては否認または争い、またはその因果関係を争う。
・請求拡張は、約四年間の審理、尋問も終了し和解が試みられる時期に行われた。
・請求拡張に係る主張は、時機に後れた攻撃防御方法に当たり、信義則にも反する。
・上記から請求拡張は却下されるべきである。

裁判所の判断

・被告は学校を開設し、体育の授業、サッカー大会等の行事に本件施設を使用している。
・地域住民や外部の団体にも広く使用を認めている。
・被告施設は営利のみを目的とせず、社会的価値があるといえる。
・被告に対して苦情を述べているのは原告らだけである。
・本件騒音で生活に大きな影響を受ける程の精神的苦痛を受けていたとは認め難い。
・被告は騒音低減のために相応の費用を支出して努力している。
・被告の努力は受忍限度の判断に際して考慮されるべきである。
・環境基準においては時間の区分ごとの全時間を通じた等価騒音レベルによって評価することが原則とされている。
・1時間の等価騒音レベルが63.2dBを超過する時間帯があったことは認められる。
・1時間の等価騒音レベル最大値を環境基準と比較することは、必ずしも適切ではない。
・90%レンジ上端値が規制基準を超過していたことも認められる。
・90%レンジ上端値が規制基準を超過したことを格別問題視することも相当でない。
・等価騒音レベルの16時間平均値は57~58dBであったことは認められる。
・原告によるハンディタイプの騒音測定器の測定結果は正確性が担保されていない。

・環境基準はあくまで基準であり目標値である。
・環境基準を超過する騒音が受忍限度を超えるものと解することは不合理である。
・環境基準を超過したとして、直ちに受忍限度を超えるということはできない。
・施設が発する騒音を環境基準と比較しても、わずか2~3dB超過しているにとどまる。
・等価騒音レベルの16時間平均値は57~58dBで普通会話と同程度である。
・上記は好ましい騒音レベルの範囲内である旨の指摘もある。
・被告の調査結果から、騒音は室内において45dB前後と低いものにとどまる。
・本件騒音は、一般的に日常生活に重大な影響を及ぼすほどのものとはいえない。
・騒音は本件施設建設当時から現在に至るまで受忍限度内にとどまるというべきである。
・原告らの被告に対する請求はいずれも理由がないから、これらを棄却すべきである。

判例の詳細1 スポーツセンターの騒音について差止めと損害賠償請求が棄却された事件


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