マンションにおける階下からの子どもの泣き声、歩行音、話し声、網戸の開閉音等の生活騒音の測定と騒音の分析

１．報告概要

○○○○様のご依頼により騒音の測定が行われ、騒音値の解析を行なった。

２．測定条件

測定日時
・平成○○○○日から平成○○○○日
測定場所
・測定箇所(１)：居間
・測定箇所(２)：部屋(２)
※詳細は以下の図を参照

図．測定場所詳細

３．測定機器と設定

・普通騒音計
・周波数重み特性：A特性
・時間重み特性：FAST
・サンプリングレート：1sec

４．測定結果

以下に測定された騒音値の経時変化をグラフに示す。また、測定された各期間における瞬時値最大値（音圧の最大値）と等価騒音レベルを示す。尚、測定が行われた地点は用途地域において第一種区域に属する。従って、当該測定地点の環境基本法に基づく基準値は、
・6:00から22：00まで 55dB
・22:00から翌6：00まで 45dB
である。また、以下は、
・4－1～4－5：測定箇所(１)で測定
・4－6～4－19：測定箇所(２)で測定
が行われた結果を示している。

4－1．○○○○日の測定結果
(13:00:00から13:50:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は13:45:31に測定された85.3 dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは57.3 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「子どもが騒ぐ行為」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの網戸の開閉音」及び「下階からの衝撃音」(49～51dB)が確認されている。

4－2．○○○○日の測定結果
(15:00:00から16:30:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は16:25:01に測定された96.4 dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは65.1 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「子どもと遊ぶ行為」「TVの音」「子どもの泣き声」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの網戸または扉の開閉音」及び「下階からの衝撃音」(42～49dB)が確認されている。

4－3．○○○○日の測定結果
(16:30:00から17:00:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は16:30:35に測定された85.9 dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは61.6 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「居住者の台所への移動」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの網戸または扉の開閉音」及び「下階からの衝撃音」(53～69dB)が確認されている。

4－4．○○○○日の測定結果
(17:30:00から18:00:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は17:42:15に測定された107.3 dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは78.1 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「子どもの騒ぎ声」が確認されている。
・また、この期間には「下階から天井をつつくような音」(50dB)が確認されている。

4－5．○○○○日の測定結果
(19:29:00から19:31:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は19:29:28に測定された76.0 dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは64.8 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「子どもの泣き声」が確認されている。
・また、この期間には「下階からのウォーターハンマー音」が確認されている。

4－6．○○○○日の測定結果
(20:24:00から20:26:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は20:24:40に測定された43.8 dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過していない。
・この期間の等価騒音レベルは39.0 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過していない。
・尚、この期間には測定地点において「ウォーターハンマー音」が確認されている。
・また、この期間には「下階からのなんらかの音」が確認されている。

4－7．○○○○日の測定結果
(23:14:00から23:16:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は23:14:28に測定された59.8 dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは45.6 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「物音」が確認されている。
※およそグラフの前半部分が物音を示すと考えられる。
・また、この期間には「下階からの衝撃音」が確認されている。
※およそグラフの後半部分が衝撃音を示すと考えられる。

4－8．○○○○日の測定結果
(12:30:00から12:45:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は12:37:10に測定された77.0 dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは57.4 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「子どもの泣き声」「子どもの騒ぎ声」が確認されている。
・また、この期間には「下階からのウォーターハンマー音」「下階からの歩行音」
「下階からの網戸の開閉音」「下階からの衝撃音」(47dB)が確認されている。

4－9．○○○○日の測定結果
(12:59:00から13:01:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は13:00:42及び13:00:43に測定された68.2dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは53.7dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過していない。
・尚、この期間には測定地点において「子どもと遊ぶ行為」が確認されている。
・また、この期間には「下階からのウォーターハンマー音」が確認されている。

4－10．○○○○日の測定結果
(13:59:00から14:01:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は14:01:00に測定された63.2dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは45.8dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過していない。
・尚、この期間には測定地点において「子どもの騒ぎ声」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの網戸の開閉音」(47dB)が確認されている。

4－11．○○○○日の測定結果
(14:10:00から14:15:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は14:12:30及び14:12:31に測定された67.3dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは49.8dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過していない。
・尚、この期間には測定地点において「居住者の歩行」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの衝撃音」(41～51dB)が確認されている。

4－12．○○○○日の測定結果
(14:59:00から15:01:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は15:00:25に測定された68.4dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは58.1dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「子どもの起床」が確認されている。
・また、この期間には「網戸の開閉音」が確認されている。

4－13．○○○○日の測定結果
(15:19:00から15:21:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は15:19:00に測定された63.8dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは48.9dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過していない。
・尚、この期間には測定地点において「居住者の台所への移動」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの衝撃音」が確認されている。

4－14．○○○○日の測定結果
(15:30:00から15:50:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は15:40:24に測定された79.2dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは58.2dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「子どもの大声」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの衝撃音」が確認されている。

4－15．○○○○日の測定結果
(16:24:00から16:26:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は16:24:23に測定された71.2dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは59.7dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の規制基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「子どもの泣き声」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの衝撃音」(41～51dB)が確認されている。

4－16．○○○○日の測定結果
(17:10:00から17:25:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は17:21:39に測定された80.2dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは61.6dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「子どもの泣き声」「子どもとの会話」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの衝撃音」が確認されている。

4－17．○○○○日の測定結果
(6:34:00から6:36:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は6:35:35に測定された61.6dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは47.9dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過していない。
・尚、この期間には測定地点において「居住者の歩行」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの衝撃音」(43dB)が確認されている。

4－18．○○○○日の測定結果
(8:09:00から8:11:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は8:09:24に測定された73.4dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは56.0dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「居住者の会話」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの衝撃音」が確認されている。

4－19．○○○○日の測定結果
(13:00:00から13:15:00まで)

図：音圧レベル（dB）の経時変化
注）
縦軸：音圧（dB）
横軸：時間

・この期間の測定最大値は13:14:20に測定された77.0dBであった。
・この期間における測定最大値は当該地域の基準値を超過している。
・この期間の等価騒音レベルは58.5dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは当該地域の基準値を超過している。
・尚、この期間には測定地点において「子どもの泣き声」が確認されている。
・また、この期間には「下階からの歩行音」が確認されている。

５．結論

上記結果より、測定場所におけるほぼ全ての期間において測定最大値及び等価騒音レベルは一般的な基準値を超えている。また、測定者より報告された下階からの音の音圧はほぼ全て基準値を超えない為、騒音の発生源はそれぞれの測定場所に存在する可能性が高いと考えられる。
これらの音圧は壁や障害物による減衰効果を考慮しても下階に相当の音圧　を与えている可能性が高い（結果4－4、107.3dB等）。　規制基準値を超える騒音は規制の対象でもある為、早急な対処が望まれる。

６．規制基準値の根拠

６－１．環境基本法・環境基準
騒音に係る環境基準 (H10.9.30環境庁告示第64号、H12.3.31東京都告示
第420号)
６－２．判例
東京地裁 　平成6.5.9 判例時報1528号116 ．
東京地裁　昭和 63.４.25　判例時報　1284号-49．