普通騒音計2台による騒音の測定と、測定結果分析による受忍限度判定及び発生方向の類推

1.報告概要

株式会社○○、○○様のご依頼により騒音計による測定が行われ、測定された騒音値の解析を行なった。

2.測定条件

測定日時
    平成2○年○月24日1:00:00から5:00:00まで
測定場所
    ○○市○○丁目21番○号 マンション5階寝室
騒音計設置方向
    4階方向(下方向)、6階方向(上方向)に各1台

3.測定機器と設定

・普通騒音計 NL-42(2台)
・周波数重み特性:A特性
・時間重み特性:FAST
・サンプリングレート:1sec

4.測定結果

以下に、測定された音圧の経時変化をグラフに示す。また、総測定期間における音圧最小値、等価騒音レベル、音圧最大値、基準値を超える音圧が測定された回数、各方向における測定値の比較を示す。
なお、測定場所は近隣商業地域であり、環境基本法における基準値は下記のとおりである
・6:00から22:00まで 60 dB
・22:00から翌6:00まで 50 dB

4-1.○月24日、4階方向における測定結果
(1:00:00から5:00:00まで)


図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この期間の音圧最小値は1:05:06に測定された21.5 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは38.6 dBであった。
・この期間の音圧最大値は1:33:36に測定された72.0 dBであった。
・この期間における音圧最大値は基準値を超過している。
・この期間において基準値を超える音圧が測定された回数は110回であった。

4-2.○月24日、6階方向における測定結果
(1:00:00から5:00:00まで)


図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間

・この期間の音圧最小値は1:05:06に測定された28.7 dBであった。
・この期間の等価騒音レベルは37.5 dBであった。
・この期間の音圧最大値は1:33:34及び1:33:35に測定された70.6 dBであった。
・この期間における音圧最大値は基準値を超過している。
・この期間において基準値を超える音圧が測定された回数は40回であった。

4-3.○月24日における測定結果の比較
(1:00:00から5:00:00まで)


図:音圧レベル(dB)の経時変化
注)
縦軸:音圧(dB)
横軸:時間


表:各階方向における測定値、分析・解析値の比較

・各測定において50dB(22時~翌6時の基準値)を超える音圧が測定された
回数の総数は150回である。
・上記総数に対して、4階方向にて基準値を超える音圧が測定された割合は
73.3%である。また、6階方向にて基準値を超える音圧が測定された割合は
26.7%である。


図.4-1グラフ拡大図


図.4-2グラフ拡大図


図.4-3グラフ拡大図

5.結論

 騒音値グラフ及び各値を第4章に記載したが、今回の測定における4階方向の音圧最小値は21.5dB、6階方向の音圧最小値は28.7dBである。この結果と各グラフから考察すると、騒音が発生していない状況での音圧(暗騒音)は、4階方向で20数dB前後、6階方向で30dB前後であることがわかる。この暗騒音の差については、予想の域を出ないが、上階の床にある家電(冷蔵庫、オーディオ機器の待機音など)による音が下の階である5階の天井に伝わっていることが理由として考えられる。
次に、結果4-3、等価騒音レベル(騒音が持つエネルギーの時間平均値)の比較より、今回の測定では4階方向の方が数値は高い。さらに、4階方向で基準値を超える音圧が測定された割合は73.3%であり、4階方向からの音圧が基準値を超える割合も高かったことがわかる。本来、暗騒音が4階方向より6階方向の方が高いことと合わせて考えると、今回の測定で騒音が発生していたと仮定した場合、騒音源は4階方向にある可能性が高いといえる。
最後に、音圧最大値は測定期間において基準値を超過している。この音圧最大値については、4階方向の騒音計、6階方向の騒音計についてほぼ同時に発生しているため、同じ音源による音圧が測定されたものと考えられる。なお、音圧最大値に関しても4階方向からの音圧の方が高い。一時的、突発的または恒常的に基準値を超える音圧、つまり騒音の発生は抑止されるべきであるため、早急且つ適切な対処が望まれる。

 

6.受忍限度の根拠

6-1.環境基本法・環境基準
●騒音に係る環境基準 (H10.9.30環境庁告示第64号、H12.3.31東京都告示第420号))
6-2.判例
東京地裁  平成6.5.9 判例時報1527号116 .
東京地裁 昭和 63.4.25 判例時報 1274号-49
甲府地裁都留支部昭和63・2・26(判例時報1285号119)
京都地裁平成4・11・27(判例時報1466号126~)
福岡高裁那覇支部平成22・7・29(判例時報2091号162)

 

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