騒音性難聴の特徴と原因、対策と予防

騒音は知覚することによるストレスから心身に対して様々な悪影響を与えますが、特に耳は音を感じる最初の器官であるため、直接的な被害を受けやすい器官です。このページでは騒音が聴覚に与える代表的な悪影響である「騒音性難聴」について説明いたします。

騒音性難聴には2種類ある―その特徴とは

騒音性難聴には大きく分けて2種類あり、ひとつは「職業性難聴」、そしてもうひとつが「音響性難聴」です。「職業性難聴」は名前のとおり、騒音の多い工場や工事現場などの職場環境で長時間かつ長期にわたって働くことによって発症する難聴です。そして「音響性難聴」は音楽ライブやクラブハウスなどで、大音量で音楽を聴いていた場合などになる難聴を指し、音響性外傷とも呼ばれます。どちらも騒音により鼓膜に異常をきたしてしまい、音がうまく感知できなくなってしまうことから、騒音性難聴と呼ばれています。
加齢、疲労、ストレス、睡眠不足などが原因でどちらかの耳が騒音によらず難聴を発症することもありますが、騒音性難聴は片耳のみの発症というのは稀であり、両方の耳が同じ程度に発症することが特徴です。そして同じ騒音を同じ時間で聴いていたとしても、その人が持つ既往歴やアレルギーなどの体質によって発症の有無や、症状の差が生じることがあります。

騒音だけではなく、疲労やストレスが原因となる場合もある


この難聴は片耳のみの発症というのは稀であり、両方の耳が同じ程度に発症することが特徴です。そして同じ騒音を同じ時間で聴いていたとしても、その人が持つ既往歴やアレルギーなどの体質によって発症の有無や、症状の差が生じることがあります。
また近年では、特定の騒音環境だけでなく、電車などで音楽を聴いている人も注意が必要な点があります。それは長時間、ヘッドホンやイヤホンで音楽を聴いていたためこの難聴を発症する事例が報告されているからです。予防策としては音量の大きさに気を付けたり、ノイズスキャン機能のついているものを使用するなど注意が必要です。その他にも、疲労、ストレス、睡眠不足などが原因で発症する場合もあります。

初期症状に自分で気付くのは難しい


症状の特徴としては、まず初期症状として表れる「高音域の音が聞こえなくなる」「耳鳴りがする」「言葉の識別が困難になる」ということがあります。しかしこの初期症状の段階で自分が難聴だと感じる人は少なく、そのため「前兆がない難聴」といわれています。そして悪化していくにつれて生活に支障をきたす難聴へと深刻化していくのですが、症状の悪化速度は個人差があり、低血圧の人や慢性的に鼻や耳に疾患を抱えている人、またアレルギー体質の人も悪化のスピードが早いと言われているため特に注意が必要です。

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どうすれば対策・予防できるのか


まず騒音の多い場所は出来るだけ避けるようにしましょう。また、どうしても騒音の中にいなければならない場合は耳栓などの防音具を使用することにより、少しでも騒音から耳を守りましょう。また仕事中などでも、定期的に騒音の多い場所から離れ耳を休ませる習慣をつけ、少しでも難聴が深刻化する原因となるストレスや疲労を溜めないために、規則正しい生活を心がけましょう。そして定期的に聴力検査を受けることも発症や悪化の予防になります。
また、「ヘッドホンやイヤホンで音楽を聞きたいが難聴になりたくない」という人は多いでしょう。予防策としては「大音量の音に晒されるのを避けること」が重要になりますので、そもそもの音量を小さい状態(最低限聞こえる程度)にしてヘッドホンやイヤホンを使用することが挙げられます。近年ではノイズキャンセリング機能のついているヘッドホンやイヤホンも多いので、それらを使用して音自体を聞き取りやすくし、相対的に使用中の音量を下げるというのも効果的な予防策です。

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騒音性難聴になってしまったら―治療が有効な期間は短く、早期発見が重要


騒音性難聴の治療方法としては主に、薬物療法が中心となりますが、この薬物治療が有効な期間は発症から1週間以内といわれています。処方される薬としては、ビタミン剤やステロイド剤が主な薬となっています。
また薬物治療以外では、「高圧酸素療法」や「神経節ブロック療法」と呼ばれる治療が行われますが、このどちらの治療方法も薬物治療同様に早期治療に対してのみ有効とされています。そして症状の悪化を抑える、または改善を促す治療法として「補聴器の装着」があります。しかしこれも本来人間が持っている「言葉を識別する能力」が低下する前に、装着を開始しなければ、音は聞こえても、「言葉として識別する能力」を改善することはできません。つまり補聴器による治療を検討する場合も「言葉としての識別する能力」が低下してしまわない早めの段階で、装着治療の開始を決断する必要があります。そして、早期の段階で補聴器を装着することにより完治は難しくても、少しでも「聞こえ」の改善に繋がる可能性があります。つまりどんな治療・悪化予防方法も開始が遅くなるにつれて、効果が得られにくくなる難聴なので、少しでも「最近、聞こえづらい」「人との会話が聞き取れない」という自覚を感じたら耳鼻咽喉科を受診し、検査を受けましょう。
騒音性難聴は一度発症してしまうと、治療が難しい病気です。だからこそ、予防が何よりも大切であり、未然に防ぐ意識を持つことが大切です。

騒音性難聴の予防には騒音測定が有効

騒音性難聴は、凡そ85 dB(A)以上の騒音に1日8時間以上曝露される(晒される)期間が長期間続くと発症するとされています。つまり、騒音性難聴の予防には「普段どの程度の騒音に何時間程晒されているのか」を明らかにして、もし上記(85dB8時間)を超えているようなら、騒音源に対して働きかける(騒音対策をする)ことが有効といえます。近年では、工場やライブハウスの現場責任者にあたる方が「従業員を守るため騒音測定を行う必要がある」と当社にお問い合わせ・ご依頼されるケースも少なくありません。当社では騒音の大きさ(dB)を定量的に測定・報告するサービスを行っておりますので、測定をご検討の際はお気軽にお問い合わせください(>>お問い合わせはこちらから

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