エコキュート・低周波音相談

エコキュートやエネファームと低周波騒音(低周波音)

近年当社へ寄せられる低周波音関連のお問い合わせの中で、特に「被害を受けている」といった相談の多いのがエコキュートを代表とするヒートポンプ式の給湯器(湯沸かし器)、エネファームを代表とする家庭用ガスコージェネレーションシステムに関する騒音です。当社の現在までの測定結果によればエコキュートの騒音はおおむね10~15Hz程度にピークがあるようです。このような(>低周波音と健康被害リンク)健康被害に心当たりのある方は低周波騒音を疑ってみた方が良いかもしれません。当社の低周波音調査パックはこちらから(>調査サービスと料金)

※ヒートポンプ式:外気の熱と装置の電力によって効率的に熱エネルギーを得る技術
※ガスコージェネレーションシステム:ガスを用いて発電し、発電時に発生する排熱を冷暖房や給湯、蒸気などの用途に利用するシステム

エコキュート関連情報纏め

エコキュートとは?

エコキュートとはヒートポンプ技術を利用し空気の熱で湯を沸かすことができる電気給湯機(湯沸かし機)のうち、冷媒として、フロンではなく二酸化炭素(自然冷媒CO2)を使用している機種の総称です。

エネルギー効率が高いことから政府が補助金を出して地球温暖化対策の一環として推奨している電化製品であり、2023年6月現在でも補助金制度は健在です。

2001年4月に製品化されて以降出荷台数は右肩上がりに増え続けて2022年3月末時点で800万台以上が普及しているそうです。

低周波音による被害は個人差が大きく自覚していない人も多い

エコキュートのヒートポンプは、原理がエアコンや冷蔵庫と同じなので、空気を圧縮する機械音がします。エアコンの室外機ほどではありませんが、30~40dBの低い「ブ~ン」という音で、しかも深夜に作動しますから、人によっては気になる音です。ご近所とのトラブルになる事例も報告されています。

エコキュートの低周波音による被害の大きな特徴は、運転音(低周波音)によって被害者に生じる健康被害が明確でなく、個人差が大きいことです。

エコキュートがその生活領域の至近距離に設置されている隣人に限っても、健康被害が生じる人は一部であり、しかもその家族内でも症状が出たり出なかったり、発症時期もまちまちです。

このことは、被害の訴えが無視されたり、被害妄想だと決めつけられたり、或いは神経質すぎると非難されたりと、低周波音に関する周囲への訴えが理解されにくい原因となっており、また、低周波音による健康被害が気づかぬ内に進行してしまう原因にもなっています。

また、この個人差ゆえに未だに自分の症状がエコキュートが原因であると自覚していない人も多くいるようです。

エコキュート訴訟で和解

エコキュート、調査対象に 消費者事故調「低周波音で不眠症」
2012/12/10 10:11
深夜電力を使って電気代を節約できるヒートポンプ式給湯機「エコキュート」から出る低周波音が原因で不眠症になったとの申し出を、消費者安全調査委員会(消費者事故調)が調査対象に選んだことが10日までに、申し出をした男性への取材で分かった。体調不良を訴えたのは群馬県高崎市の男性(51)。男性によると、09年2月、自宅に隣接する住宅でエコキュートの運転が始まると、夜中に突然目が覚め、頭の奥で振動が響くのを感じるようになった。不眠症や自律神経失調症と診断され、妻も不調を訴えているという。 男性は県や環境省などに相談したが、納得できる対応がないため昨年7月、機器メーカーなどに損害賠償を求め前橋地裁高崎支部に提訴した。〔共同〕

オール電化住宅などで普及が進み、累計出荷台数が2007年9月に100万台、09年10月に200万台を突破した『エコキュート』(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)。この『エコキュート』から出る低周波音で不眠や吐き気などの健康被害を受けたとして、高崎市内の男性が11年7月15日に、メーカーのサンデン(株)(本社:群馬県伊勢崎市寿町、木内和宣社長)と、大和ハウス工業(株)(本社:大阪市北区梅田、大野直竹社長)を相手に267万円の損害賠償を求める訴訟を前橋地裁高崎支部に起こしている。以前より、深夜に運転開始することから、近隣から機械の騒音トラブルになることが指摘されていた『エコキュート』だが、それが現実のものとなったかたちだ。『エコキュート』の運転音が騒音となる可能性があることは生産団体も認めている。今回訴えられたサンデンも加盟している日本冷凍空調工業会(日冷工)は4月、「騒音等防止を考えた家庭用ヒートポンプ給湯機の据付けガイドブック」をまとめて、ウェブサイトで公開している。『エコキュート』の販売や設置の実務者向けのもので、騒音問題への対策として、隣家などに影響をおよぼすような場所は避けるよう設置上の工夫などを解説している。

「エコキュート」訴訟で和解 健康被害訴え、隣人らと
2013/11/18 21:21
群馬県高崎市の男性(52)が、隣家に設置された給湯器「エコキュート」で不眠症などの健康被害を受けたとして、隣人に運転差し止めと機器メーカー、住宅メーカーに計約270万円の損害賠償を求めた訴訟は18日、前橋地裁高崎支部(川口代志子裁判長)で和解が成立した。原告側代理人によると、和解内容は年内に撤去し、別メーカーの給湯器を設置するほか、費用は各メーカーが負担するという。訴状によると、男性は2009年2月に隣家の給湯器の運転が始まると音や振動で夜中に何度も目が覚め、頭痛や耳鳴りの症状が出た。男性の妻は不眠症、自律神経失調症と診断された。消費者安全調査委員会は男性の申し出を受け、12年11月からこの給湯器の低周波音や振動と症状との因果関係などを調査している。機器メーカーは「コメントは差し控えたい」としている。〔共同〕

~エコキュート低周波音の被害者に光明をもたらす画期的な和解~
和解の内容は下記の3点①エコキュートの撤去②エコキュートがあった場所に電気温水器(日立製)を設置③エコキュート撤去と電気温水器設置にかかる費用を原告に負担させない

エコキュートだけでなく、エネファームでも被害が発生

2016年時点において、「エコキュート」による騒音問題よりさらに深刻であったのが、「エネファーム」による騒音問題でした。

ガスを使って、電気とお湯をつくりだすエネファーム。高価格ですが、東日本大震災以降、節電および発電できる装置として、ガス会社は、国や自治体から補助金が出ることをPRし、その普及に力を注いでいました。ところが普及が進むにつれ、頭痛、吐き気、不眠など、「明らかにエネファームによる健康被害が生じている」といった情報がインターネット上には多く出回ることになります。一方で、まったくと言って良い程大手メディアでの報道はなされていませんでした。例えば、次のような記事が2012年に建築ジャーナルに掲載されてはいますが、大手メディアが報じたものではありません。

 「2010年12月、新築の隣家にエネファームが設置され、試運転が始まると、その不快な騒音のため、庭に出るのが憂鬱になった。そして、隣家が入居した翌朝から、室内に耳慣れぬ音がして、その日以来、2階寝室では眠れず、1階居間で1日2~3時間の仮眠をとる状態になった」

なお、被害の拡大に伴い関連の訴訟が多くなったこと等から消費者庁消費者安全調査委員会(事故調)が調査を行うことになり、2017年12月にはエネファームの運転音と健康被害の関連を指摘する報告を挙げています。ただし、その後も被害を大々的・集中的に取り上げる大手メディアは存在せず、2023年現在でも被害の状況が多くの人に周知されているとは言えません。

エネファームは深夜に運転、冬場は運転音が大きい

「エネファームは運転効率を考慮して、1日1回発電を停止させます。標準的なご家庭の1日の発電時間の目安は、夏場で6時間程度まで、中間期、冬場では13~18時間程度となります」

「発電ユニットの運転音は38dBです。運転音は、無響室で測定した音量です。実際に据付した状態で測定すると、周囲の騒音や反響等の影響をうけ、表示数値より大きくなります」

「ヒートポンプ給湯機は、深夜から明け方にかけて深夜電力を使って、ヒートポンプユニットでお湯を作ります。深夜は周りの音が静かなため、運転音自身が小さくても、運転音が認識されやすい傾向にあります」

「また、ヒートポンプ給湯機の騒音レベルは、ヒートポンプユニット近傍で40dB程度ですが、外気温や水温等の環境条件によって運転状態は変化します。特に冬場は、圧縮機や送風機の回転数が上昇するため、運転音が大きくなる傾向があります」

適切な設置場所と遮音で被害を未然に防ぐ

深夜にコンプレッサーを稼動させる場合、低周波による騒音が発生する事がNHKのニュースで報道されましたが、各メーカーは静粛化に力を入れていて、低周波音対策に注力していることを公に打ち出している企業は現状ありません。また、業界団体では2011年春までに設置場所や設置方法等をガイドラインにまとめるとともに、環境省は2010年度から低周波の人への影響について調査を始めましたが、2023年現在でも低周波音による被害のメカニズムは明確になっていません。つまり、現状、低周波音による被害を防ぐための手段は「適切な設置場所に設置する(設置してもらう)」「遮音する(遮音してもらう)」という対症療法的な手段が主となっています。

「以下は、ヒートポンプユニットの据付け場所を検討いただくためのポイントです。
(1)お客様および隣接するご近所様の寝室の傍は避ける。
(2)ヒートポンプユニットの近辺に、窓や床下通風口等の音の侵入口があれば、極力、距離をとる。
(3)ヒートポンプユニットの周囲に極力スペースを設け、壁や塀で音が反射しないように工夫する」

遮音のために塀を設ける場合の注意事項
・音源に極端に近い塀を設けると、ヒートポンプユニットの吸熱が悪くなり、効率を悪化させる。そのため、メーカー指定の間隔以上を確保すること。
・塀の高さは、音源の高さより1m高くすること。
・塀の長さは、高さの数倍以上(両側に)とること。
・塀の材料は、スレート、コンクリートブロックなど、強固で頑丈なもので、隙間を作らないようにすること。

設置を避けた方がいい場所
・近隣の住宅と、あなたの住宅の寝室付近。
・窓や換気口など、運転音が近隣の住宅に直接侵入しやすい場所。
・壁や塀に囲まれた、極端に狭い場所。
・エアコンの室外機など、ほかのヒートポンプユニットに近い場所。

低周波音(低周波騒音)のデータを明確にする必要性

エコキュートやエネファームの設置場所を変更する場合や遮音を行う場合、低周波音(低周波騒音)の詳細なデータが必要になります。というのも、「低周波音がどの場所にどの程度届いているか」といった情報を明確にしなければそもそも設置場所を検討することができませんし、再設置した場所からの低周波音が生活空間に届いてしまう可能性が出てきてしまいます。また、遮音する場合の遮音材の材質、遮音壁等の構造物を検討・選択するとしても低周波音のデータ(特に周波数毎の音圧データ)が必要になります。当社では低コストで低周波音の測定・データ報告が可能なプランを提供差し上げておりますので、ご入用の際はお気軽にお問い合わせください(>>お問い合わせはこちらから)。

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