騒音は刑法上の罪(刑事罰)になるのか、告訴/告発はできるのか?

騒音問題は一般的に民事上のトラブルとされ、被害に遭った場合には、騒音の発生主に対して不法行為による損害賠償請求や差し止め請求といった対処を行うことができます。しかし、騒音に関する裁判では賠償額が比較的低いことなど、仮に裁判で買ってもその影響力が限定的であることが少なくありません。一方、一般的に民事とされる騒音問題は、刑法上の罪として訴えることはできないのでしょうか?このページでは騒音と刑法の関係について解説します。

騒音が「暴行」と認められれば刑法上の罪となる

通常個人間同士の騒音問題は、民事上のトラブルとされます。そのため、ただ騒音を出しているというだけでは刑法上の罪に問うことはできません。しかし、騒音の状況によっては、暴行と認められる可能性もあります。
最高裁の判例では、刑法第208条の暴行について、「人の身体に対し不法な攻撃を加えること」と解釈し、直接暴力を振るわなくても、身辺で大きな音を出して、意識を朦朧とさせたり脳貧血を起こさせたりした場合についても、暴行の範囲に含まれるとされています。
つまり、暴行とは、「直接身体に物理的に受ける不法の有形力行使であるか、もしくは、直接体に触れて加えられたものではないが傷害となる危険性がある有形力行使」と判断されています。したがって、騒音についても傷害となる危険性がある場合には、暴行とみなされる可能性があるのです。

「誰でも、犯罪があると思うときは、告発をすることができる」

刑事訴訟法第239条には、「何人でも、犯罪があると思料するときは、告発をすることができる。」とあります。これは騒音に関する犯罪行為の場合でももちろん適用されます。
該当の騒音が健康的な生活を脅かし、身体および精神に被害を被っていることが明らかな場合には、傷害で告訴や告発を行うことができます。実際に、騒音によって他人を頭痛や睡眠障害に陥らせたことについて傷害罪が適用され、有罪判決が下された事例もあります。
いずれにせよ、発生している騒音が受忍限度を超えるレベルであることが条件で、体調不良と騒音との因果関係の証明が必要です。また、騒音を発生させている相手が故意であるかどうかもポイントとなってきます。

刑事事件の告発先は警察署の「司法警察員」

告発先は、刑事事件の場合は警察署の司法警察員(巡査部長以上の警察官)です。原則として犯罪となる行為が行われた場所、もしくは、被害者加害者のいずれかの居住地を管轄する警察署へ告発します。告発は、条文では口頭もしくは書面で行うとされていますが、実務上は告発状の作成が必要です。管轄の警察署長宛とし、告発人の住所・氏名・電話、および非告発人の氏名・住所・電話、犯罪事実、処罰の根拠となる条文、処罰を求める旨を記載し、押印します。

告発状が不受理になるケースもある

告発状が受理されれば、警察は捜査を開始しますが、告発状を警察署に提出しても受理されないというケースもあります。正式受理されないケースには、告発要件を満たしていない場合の不受理決定と捜査機関が正式受理を行わない預かり状態となってしまう場合の2種類があります。

告発に必要な法定要件を満たしていない場合

刑事訴訟法では、告発に対する受理の義務は規定されていません。しかし、東京高裁の判例では、犯罪捜査規範63条や警察官職務執行法8条を根拠に、捜査機関の受理義務を認めています。そのため、法令上不受理となるのは、以下のような法定要件を満たしていない告発の場合です。
・告発状の内容の事実が不明確であるものや、特定ができないものである場合
・犯罪が成立しないことが明らかである場合
・公訴時効が成立している場合

捜査機関が正式受理を行わない場合

しかし、警察は法定要件を満たした告発の場合でも、実質的に受理していない事例は多数あります。告発を受理すると、警察は捜査義務が生じてしまうからです。処罰の対象となるような事例でないと、警察による捜査は意味をなさないため、正式受理ではない預かり状態という保留手段がとられるのです。
また、軽微な事例の場合、示談の条件として告発の取り下げを提示するなど、告発が示談を有利に進めるための材料に用いられる例もみられます。この方法が通用してしまうと、結果として警察の民事不介入の原則が崩れてしまうため、警察は告発の受理に慎重となるのです。したがって、告訴が預かり状態になるのを防ぐには、告発前の警察への事前相談や、民事での解決が不可能であることなどを明らかにしておくことが効果的です。
騒音に対する告発の場合には、騒音の測定・計測結果などの客観的資料を揃えておくことはもちろん、騒音発生者との話し合いがうまくいかないこと等を明らかにしておくことが望ましいとされています。


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